見学不可と言われても、あきらめの悪い私

「えっ、どうしてですか?」香港島、ミッドレベルのシナゴーグはもう目と鼻の先にあるのに、隣のビルの若い警備員は、見学したいという私の希望を聞き入れてくれませんでした。「ここのシナゴーグは、一般の方は入れないんですよ。」これが宗教施設の難しいところで、たとえば同じイスラム教のモスクでも、国によって異教徒でも見学自由な場合もあればそうでない場合もあるのです(ちなみに日本にあるシナゴーグは中まで入れます)。これまでの旅の中で、何度も見学不可の宗教施設の前であきらめてきた経験があるのに、なぜかこの時だけは、私は意地になっていたようです。「そんな!がっかりだわ!」

行きたいことに理由は必要?香港、ユダヤ教の会堂「シナゴーグ」見学にトライ(その2) 行きたいことに理由は必要?香港、ユダヤ教の会堂「シナゴーグ」見学にトライ(その2)

若い警備員の親切を受けて

私の落胆ぶりを見て気の毒に思ったのか、若い警備員は質問してきました。「あなたはユダヤ人ですか?」ちがいます。「あなたは香港在住ですか?」ちがいます。「なぜ香港にいるんですか?」観光です。「あなたがシナゴーグを見たい理由はなんですか?」私は建築が好きで、いろいろな宗教建築を見ています。ユダヤ教に限らず、モスクやキリスト教会なども、旅行をすると見て歩いています。「ほほう。パスポートを確認させてください。」これだけあれこれ質問してきても、警備員の態度は終始にこやかで嫌な感じは受けませんでした。むしろ私に同情しているようでした。しかし同情と職務とはまた別の問題であるらしく、他の年かさの警備員たちと何度か相談し、「今夜はもう遅いので、朝8時から夕方6時までの間に、直接シナゴーグへ電話をかけて見学の予約を入れてください。」と、電話番号を書いた紙切れを渡してくれたのです。若い警備員にはこれがせいいっぱいのようで、私はありがたく彼の親切を受けることにしました。そうこうするうちにも、キッパ(ユダヤ教の男性の小さな帽子)を頭に載せた人たちが、このビルに何人も入っていきます。警備員に尋ねてみると、ここはレジデンスだとのことでした。なるほど、香港在住のお金持ちなユダヤ人は、堅固な守りの中で、ここに固まって住んでいたのですね。ものすごく厳重な警戒態勢の理由も、これで解けました。

シナゴーグに電話をかけて予約を入れてみようとするものの

日を改め、私は紙切れに書かれた番号に電話をしてみました。とても事務的な態度の女性が出てまた質問攻め。あなたはユダヤ人か、あなたは香港在住か、見学したい理由は何か。そして「ここはプライベートな施設だから一般人の見学はできない。しかしラビ(ユダヤ教の指導者のこと)に相談したら、もしかしたら大丈夫かもしれない。また電話をかけて」と言われました。言われたとおりに少し待ち、また電話してみると、今度はさっきとは別の女性が出て、さらに冷たい態度で「見学はだめ」の一点張り。これで私は完全に頭に血が上ってしまいました。(その3へつづく)