香港で一番の繁華街のモスクへ

「異国の中の異教を見たい」――初めて香港に行ってみようと思ったとき、真っ先に思い浮かんだ旅の目的がこれでした。香港は、世界有数のインターナショナルシティです。中華系以外の人々が、ここでどんなふうに異国を生きているのかを知りたいと思いました。香港には数えきれないほどの道教の「廟」がありますが、キリスト教会もあればシナゴーグもヒンドゥー教寺院も存在します。中でも、ネイザン・ロードの真ん中に位置するイスラムのモスク「九龍清真寺(ガウロンチンジュンジー/カオルーンモスクアンドイスラミックセンター)」は、香港でもっとも旅行者の目に触れやすいモスクかもしれません。

香港のメインストリート「ネイザン・ロード」で、喧噪から離れるモスク見学 香港のメインストリート「ネイザン・ロード」で、喧噪から離れるモスク見学

金曜以外の午後は異教徒でも見学自由

香港随一の繁華街チムシャツォイのメインストリートといえばネイザン・ロード。全長約3.8キロの長い道の両脇に、ホテル、ファッションブランドショップ、高級宝飾店、時計店などが建ち並びます。この華やかな通りのちょうど真ん中あたりに、周囲のビルとは明らかに異なるデザインの白い建物が見えてきます。丸屋根と4本の尖塔を有するイスラム様式の建築。これが香港最大のモスク「九龍清真寺」です。金曜日は見学不可ですが、それ以外の日は14:30から16:00までの間に、自由に見学できます。初めて香港に到着するとまっすぐここへ来た私は、裸足になってひんやりとした大理石の床を踏んで中へ入りました。

モスクの内と外は別世界

ネイザン・ロードの賑やかさが、スッと遠のきます。大好きなアラベスク(幾何学模様をくり返すイスラム美術の様式)に囲まれ、旅の興奮や緊張が鎮静していきます。そしていつの間にか眠気が……おっと、貼り紙に「寝てはダメ」と書かれています。でも周りを見回すと、ムスリムのおじさんたちもゴロ寝をしていましたよ。これまでにも、各国の数多くのモスクに入ってきました。真剣に祈る人もいればくつろいで歓談したりうたた寝したりしているムスリムに和んだものです。ここもやはり、モスクらしさが共通しているなあとうれしくなりました。けれども、アラベスクの格子窓からネイザン・ロードを見れば、原色の漢字の看板、じめじめした熱気の中をだらだら歩く中国人観光客、信号機が横断時間を告げる耳障りな点滅音……異国で異教を守っているこの建物で、この入れ籠細工を楽しんでいる、さらなる異国の異教徒の私でした。やがて16:00になり、退出を促され、またもとの人込みの中へ帰っていきました。

香港のモスク巡りも楽しいものです

香港島、中環(ヅォンワン/セントラル)のヒルサイドエスカレーター中腹にも、清真礼拝堂というモスクがあります。1915年建立ですが2011年に可愛らしいペパーミントグリーンに塗り直され、ビルの谷間の可憐な花のようなモスクです。両方とも観光地のど真ん中とはいえあくまで宗教施設ですから、見学には肌の露出を控え、節度ある態度で行ってみましょう。