悲運から復活を遂げた「香港競馬」

1947年、再建された「ハッピーバレー競馬場」で、オーストラリアから輸入された競走馬を用いて競馬が再開され、1960年代にはサラブレットが導入されたことで近代競馬の仲間入りを果たしました。1971年、外国人騎手の騎乗が許可されてから、次第に外国人騎手や調教師が中心になっていきます。1973年、ナイター競馬が始まり、1978年には砂のダートコースが併設された「沙田(シャティン)競馬場」が九龍半島側に開設されます。この「沙田(シャティン)競馬場」にて、現在世界中のホースマンが注目する国際G1香港招待レースが行われるようになりました。さて、そんな歴史を持つ「香港競馬」ですが、競走馬はどこで生産されているかみなさんはご存知でしょうか?

イギリスからアジアに伝わった紳士のスポーツ「香港競馬」 を楽しむ(その2) イギリスからアジアに伝わった紳士のスポーツ「香港競馬」 を楽しむ(その2)

「香港」に生産牧場は存在しない!?

今では世界中から注目を集める、国際G1レースが開催される「香港競馬」ですが、実は香港での馬産は行われていないというのですから驚きです。年々中国の影響力が強くなっている香港ですが、中国にも馬産のための本格的な牧場は存在しないため、自国から供給することができません。そのため、競走馬のほとんどをオーストラリアを中心に、イギリス、アイルランドなどからの輸入に頼っています。過去には日本産馬も所属していたことがあるそうですが、めぼしい活躍を上げることは出来なかったそうです。もちろん香港で良い成績を挙げた牡馬は種牡馬入りすることもありますが、そのほとんどは種牡馬入りすることができません。それはいったいなぜでしょうか?

実は去勢された馬が多い「香港競馬」

実は「香港競馬」に所属する競走馬の99%が騸馬、いわゆる去勢された馬なのです。海外で格安で購入した競走馬は、現地または輸入直後にすぐさま去勢されます。なぜなら「香港競馬」は、馬産が全く行われない"ビジネスレース"だからなのです。去勢するとホルモンバランスが取りやすくなり、気性が落ち着くだけでなく、高齢になっても筋肉をしなやかに保つことができます。日本よりもずっとローテーションが厳しく、すぐ引退させずに出来るだけ長い期間走らせるため、扱いやすく、馬体の衰えが緩やかな方が良いのだとか。種牡馬になる選択肢のない香港競馬の競走馬が、引退後に余生を送るためには、優秀な成績を上げるしか方法はないのです。(その3につづく)