“農場”にして“農場”にあらず。面白教育施設なのです

さて、このカドーリ農場は、“農場(farm)”という名前こそついていますが、必ずしも農場を観光客に見せることを主目的にしている場所ではありません。香港のめずらしい動物も、たくさん飼育されているんですよ。ちょっとした動物園のようにも思えるほどです。だから子供たちにも人気なんですね! しかも、それらをただ展示するのではなく、自然保護や動物愛護を呼びかける啓蒙的な解説文が、園内のあちこちで見られるのです。農作物だけでなく、動植物全体への理解を深めるための総合的な施設といえますね。

動物の保護を呼びかける解説 動物の保護を呼びかける解説

そもそも「カドーリ」って誰でしょう?

農場の名称である「カドーリ」という名前を見てピンとくる人は相当の香港通でしょう。あの高級ホテル「ザ・ペニンシュラ・ホンコン」の創始者の名前です。バグダッド出身のユダヤ系一族・カドーリ家は、1900年代に香港の金融業で成功しました。一族を成功に導いたのはエリスとエリという(ローレンスとホレスとも呼びます)兄弟でした。カドーリ兄弟は、香港にあふれていた極貧の難民たちの就労支援を目的として、1951年に農場を設立しました。中国本土から流入してきた元農民たちに向けられた農業支援プロジェクトが、当初の目的だったのです。現在の香港では農業人口が減少したため、ここの目的は「環境問題」へと広げられています。

カドーリ兄弟。ファーム・ミュージアムにあった大きな写真から カドーリ兄弟。ファーム・ミュージアムにあった大きな写真から

さながら動物園のような“農場”なんです

園内はとても清潔に保たれ、設備が整っています。子供たちが夢中になって見ているのは、やっぱり動物。キョン、ヤマネコ、ワニ、フラミンゴ、ウォータードラゴン(トカゲの仲間)など、種類豊富な動物たちを見ては、丁寧な解説文を読んでいました。解説には、それらの動物の生態について、広東語と英語で詳しく書かれています。また、中国大陸でも、ここ香港でも、動物たちは食用や皮革製品、漢方薬などさまざまな目的で乱獲されてきました。「人間の都合で数を減らしてしまった、それらの動物たちを守ろう」という啓発的なことも書かれているのです。(その3に続く)

キョンは間近で観察できるので、小さい子供も興奮! キョンは間近で観察できるので、小さい子供も興奮!