一冊の本のページが、次の旅先を決める

あなたが“次の旅を決める”ための決め手となったものはなんでしょう? 本や雑誌の記事、友人の口コミ、ネットの情報や美しい写真ですか? 私が数年前に香港へ行ったのは、ある一冊の本に導かれてのことでした。本屋でたまたま手にとった『香港路線バスの旅(小柳淳/TOKIMEKIパブリッシング[角川グループパブリッシング]/2009年)』という本の、たまたま開いたページに釘付けになったのです。それは「清水湾」という章の書き出しでした。

香港への愛がたっぷりあふれる本『香港 路線バスの旅』をバイブルにして旅立つ!(その1) 香港への愛がたっぷりあふれる本『香港 路線バスの旅』をバイブルにして旅立つ!(その1)

感動的な香港ガイドを発見

「この地名は裏切らない。クリアウォーターベイ、清水湾は、英語でも中国語でも水の澄んだ湾だが、その名のとおりの浜がそこにはある。九龍から山を越え、森の中を走った先にある奥深い湾は青く澄んでいた。そしてこの91番バスを終点で降りると、きれいな海、それだけがある。(同書より)」……。しびれました。香港のバスと香港への愛があふれていて、すっきりと無駄なく、読む人を楽しい旅へのあこがれへといざなう素晴らしい文章です。この本は、庶民の足である香港の路線バスを、旅行者にも使いこなせるようにわかりやすく解説し、同時に路線バスを使った香港の旅ルートを提案しているガイドブックです。その圧倒的な名文ぶりには誰でも感動するでしょう。

名文に惚れ込んで思いついた、奇妙な旅のスタイル

この本に書かれていることそのままのバス旅をする、というのはどうだろう。カーブひとつひとつ、次に見えてくる右と左の風景ひとつひとつを、まさにそのバスに乗りながら確認していく旅というのは?私はそう思いつきました。本をそのまま持って行くと重いし本が傷むので、めぼしいルートを厳選してコピーを取りました。路線の紹介は、必ずバスの始発から書き始めてあるので、私も律儀にその始発まで行ってからスタートすることにしました。ホテルを出てバスの始発のターミナルまで行くとかえって目的地から遠くなるとしても、気にしない! あくまでも筆者の目になったつもりで、描写を正確にたどりたかったのです。それほど、名文に惚れ込んでしまったのですね。(その2に続く)