魔窟のイメージは、今は昔。今、グルメの視線は九龍城へ

香港の「九龍城(カオルーン・シティ)」と聞いてイメージするものは、なんですか? 昔の香港を知る人にとって、それは1990年代まで「魔窟」と恐れられた、香港一の巨大スラム街「九龍城砦」ではないでしょうか。しかし現在の九龍城には、そんな昔のダークな面影はもうありません。今では、九龍城といえばグルメの街なんですよ。グルメ歩きを楽しみに、九龍城へ行ってみましょう!

小籠包は、野趣あふれる味 小籠包は、野趣あふれる味

香港でも有数のエスニックタウンです

九龍城のそばには、1998年に閉港した啓徳空港がありました。空港のそばの町だったため、この町の建物は低層ビルがほとんどなのです。だから香港ではめずらしく、空が広い! 中心部にはない、なんともいえない開放感を味わえるんですよ。九龍城には、タイ人が多く住んでいるため、タイ料理店が密集しています。タイ以外の東南アジアの人も増えていて、私もインドネシア人の経営している両替商で両替をしました。タイ、ベトナム、台湾、インド、各国のエスニック料理店がしのぎを削るのが、九龍城なのです。

大人気店「清真牛肉館」とは?

そんな中、ひときわお客さんを集めているのが、ムスリム(イスラム教徒)の中華料理店「清真牛肉館」です。清真とは「汚(けが)れがない」という意味の中国語で、清真料理店ではイスラム法に則って調理された料理が出されます。誤解されやすいのですが、ムスリム用レストランといっても、ムスリムでなくても利用できますよ。ムスリムは豚肉を食べないので、小籠包、カレー、肉入り餅に入っている肉は牛肉や羊肉、そして鶏肉です。

イスラムらしさを内装からも料理からも感じて!

また、アルコールは置いていません。店内の壁にははっきり「禁酒」と書かれています。イスラムのカラーであるグリーンが基調の店内には、アラビア文字がところどころに書かれ、ここが香港であることを忘れそうになります。中華料理でありながら、ふつうの中華とはちょっとちがう、魅惑的な品々。周りのお客さんのテーブルを見ながら、目移りしてしまいます。迷った末、羊肉入りうどんと、羊肉の小籠包を食べてみました。うどんはニンニクがたっぷり入っていて、少し唐辛子の辛みのあるスープがとても温まります。小籠包は、洗練された味の豚肉の小籠包とは異なります。肉汁とともに羊肉を口に入れると、目の前に大草原がバーッと広がっていくような……。そんな野趣あふれる味わいなのです。他のメニューも、端から全部頼みたいくらいにおいしそうでしたよ!

エスニックな雰囲気も味わいに、ぜひ九龍城へ

このお店はあまりの人気のため、九龍城に2店舗あります。龍崗道と打鼓嶺道の2つです。看板にも、アラビア語と、月と星のイスラムのマークが描かれているので他の店と雰囲気がちがい、わかりやすいです。お酒好きな人にはちょっと残念ですが、それでもグルメタウン九龍城での一番のおすすめレストランですよ! 九龍城にはデザートの店も山ほどありますから、別腹でいかがですか。中心部からちょっと離れていますが、グルメの行く価値はある町です。