2020年の東京オリンピック・パラリンピックと縁の深い建築家

「ザハ・ハディド」をご存じですか? イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディドが日本国内で一躍有名になったのは、おそらく2012年のことでしょう。2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますね。そのメインスタジアムとなるのが、「新国立競技場」です。2012年のデザインコンペで最優秀賞を取ったのは、「ザハ・ハディド アーキテクト」の大胆きわまりない建築案だったのです。しかし、議論は二転三転し、結局ザハ・ハディドは新国立競技場の設計からは完全に撤退することが決まっています。

見る者の心を揺さぶる不思議な建物 見る者の心を揺さぶる不思議な建物

香港へ行けば、話題のザハ建築を簡単に見ることができます

“建築”の概念を覆すような、そのあまりに未来的なフォルムに驚いて、「本物のザハ建築を見たい!」と思った人は多いことでしょう。私もその一人です。今、日本から一番簡単にザハ建築を見ることができるのは、もしかしたら香港かもしれません。2013年、香港理工大学の構内に建てられた「ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワー」がそれです。日本でザハ建築を見ることが叶わなくなった今、あのデザインに心惹かれたあなたは、まず香港へ飛びましょう!

アクセス至便、香港理工大学へ

アクセスも至って簡単。MTR紅磡(ホンハム)駅A1出口から徒歩1分で香港理工大学に到着します。この大学は、映画監督のウォン・カーウァイや歌手で女優のジジ・リョンなどを輩出した有名大学。「ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワー」には、デザイン系の学部が入っています。ホンハム駅からは、キャンパスを突っ切って行きます。キャンパスは外部の人間も自由に入れますが、勉強している学生さんたちの妨げにならないよう注意しましょうね。キャンパスは93000平方メートルと広大ですが、イノベーション・タワー以外の建物はすべて重厚なレンガ造りで、統一感が美しいのです。それだけに、徐々に見えてくるザハ建築の異様なことといったら……! ワクワク、ゾクゾクと気持ちが高まります。

建築を前に、ただただ驚き立ち尽くす

初めてのザハ建築は、衝撃そのものでした。私は建築が好きで、今までもかなりいろいろな建築を見てきましたが、そのどれとも似通ったところがないのです。見る角度によってまるで別の建物のように見える、自由奔放な形。グシャグシャと崩したような形のビルは、垂直の線が皆無で、ひらひらと風になびくようなデザインの無数のルーバーによって、これが何階建ての建物なのかも判然としません。建物と向き合ってじっと見上げていると、とうてい無機物とは信じられなくなってくるほどです(後編に続く)