バックパッカー永遠のバイブルを原作としたドラマ

作家の沢木耕太郎氏の大ベストセラー紀行小説『深夜特急』を原作としたテレビドラマ『劇的紀行 深夜特急('96,'97,'98)』を、ご覧になったことがありますか。テレビ朝日系列で、3年間に渡り一作ずつ放映されました。主演は大沢たかおさん。主人公の沢木氏本人を演じています。原作とともに、今でも根強い人気を誇る名シリーズです。このシリーズの初回『深夜特急'96』で主人公が初めて踏んだ異国の地は、香港でした。

ドラマでロケされた香港の宿・Dragon Inn

香港・九龍半島中心部にある有名な雑居ビル「重慶大厦(チョンキンマンション)」に、小さな安宿が密集しています。宿泊費の高い香港にあって、格安で泊まることができるのは魅力ではあるものの、アジア・アフリカ系の客引きや物売りが終日集まっては旅行者に声をかけているため、なじめない人には敷居が高く感じられるかもしれません。ドラマで主人公はその安宿の一つに泊まるのですが、実際の撮影クルーが泊まった宿は、そことは別の「Dragon Inn」というゲストハウスでした。

「マジに酔狂。」にしばし見入る

大沢たかおさんの大ファンというわけではないのですが、私も安さに惹かれて数年前にたまたまここに宿泊しました。正確には、同フロアに同系列の「Dragon Hotel」という少しランクが勝るホテルがあって(安宿には変わりありませんが)、Innのほうは満室だったためHotelのほうへ泊まりました。フロントでチェックインの手続きをしているとき、ふと目を上げたら、額に入った大きなポスターに驚いたのです。「大沢たかお主演『深夜特急'96』重慶大厦撮影の為四日間宿泊」と記してありました。こうして見ると、やっぱり文句なしにかっこいいです。雑然とした安宿の内装に、やや古びてきたポスターはしっくりとなじんでいました。放映後17年たった今(2013年)、「マジに酔狂。」という、ポスターに冠されたキャッチコピーはちょっと気恥ずかしいけれど、ここはまちがいなく、このドラマシリーズ初の“聖地”なのだなあと実感しました。

誰でも気軽に訪れることのできる“聖地”です

香港には誰でも気軽に行くことができ、チョンキンマンションの安宿にも、バックパックタイプの旅行ができる人なら抵抗なく泊まれるでしょう。もしもDragon Innに行ったら、この大型ポスターを見つめてみてください。ポスターの中で静止した時間は、自らの旅を顧みるひとときとなってくれることでしょう。