いつか泊まってみたい宮殿ホテル

インドはかつてのマハラジャが建てた、美しい宮殿が数多く見られる国です。マハラジャとはイギリスの統治下にあったインドにおいて、一定の自由を与えられていた藩王国の長。彼らが贅を尽くして建てた宮殿の数々のうち、現在ではホテルに転用されているものもあり、人気を集めています。このような宮殿ホテルはとくにインド西部のラジャスタン州で名高く、今回ご紹介するサモード・パレスもそのひとつです。マハラジャの気分に浸れる宮殿ホテルとは、一体どんな所なのでしょうか。

インドで憧れの宮殿ホテル、サモード・パレスに泊まる インドで憧れの宮殿ホテル、サモード・パレスに泊まる

サモード・パレスに足を踏み入れる

サモード・パレスは、ラジャスタン州の州都ジャイプールから北西に約40kmのサモードにある宮殿です。16世紀に築かれた砦がもとで、これが19世紀にインド・サラセン様式の宮殿へと作り変えられました。岩山の間に、淡い黄色の宮殿がたたずむように建っています。階段を上って建物の敷地内に入ると、そこは気持ちのいい中庭。ブーゲンビリアの花が咲き乱れ、ここが強烈な太陽光が降り注ぐ国だということを思わせます。部屋はいくつかタイプがありますが、私が滞在したのは天蓋付きのベッドがあるロイヤル・スイート・ルーム。インテリアは優雅で美しく、かつ飽きの来ないシンプルさも備えています。バスルームとはまた別に、窓辺に小さなバスタブが設けられ、2つあるプールのうち1つが見下ろせました。プールは夜ライトアップされて、このうえなくロマンチックな気分が味わえます。

宮殿のきらびやかなメインルームへ

サモード・パレスの見どころは、客室内だけではありません。宮殿の名残が感じられる、装飾された部屋を見学してみましょう。まずは「謁見の間(ディーワーネ・カース」)。半オープンの空間に涼しげな水色のソファが置かれ、壁には一面に細かい草花の模様が描かれています。それに続く奥の部屋へ入ると、薄暗い中に見事な細密画が浮かび上がります。また、かつて舞踏会や晩さん会が開かれた「大広間(ダルバール・ホール)」は、赤をベースとした細やかな装飾が見事。ここは今、結婚式場としても人気だそうです。このほか、無数の鏡がはめこまれた「鏡の間(シーシュ・マハル)」や、アーチや色使いが美しい廊下など、どこもまるで博物館のようで、思わず見入ってしまいます。

サービスも静かな環境もすばらしい

夕方にはホテルを出て坂道を下り、近くの集落を散策してみました。村人はみなとても人懐こくて、楽しい交流ができました。オフシーズンの7月だったため、この日滞在していたのは私を含め2グループのみ。そこで特別にプールサイドにテーブルを出して、夕食をサーブしてくれました。テーブルの上でキャンドルの炎が揺れ、空には月や星が輝く中、おいしい料理を堪能。その夜はぐっすり眠れたことは、言うまでもありません。ジャイプルやウダイプルにある名だたる宮殿ホテルと比べて、このサモード・パレスは美しいながらもどこか素朴さが漂っています。ぎらぎらした豪華さはありませんが、それがまた落ち着くのです。静かですがすがしい空気の中、ゆっくり読書や散策をして過ごしたくなる、おすすめの宮殿ホテルです。