パーセントでは多くはないが人口では

“インドの宗教”というと、どうしても極彩色で手がいっぱいあるようなヒンドゥー教の神様が頭に浮かびませんか? もしくはガンジス川の沐浴風景とか。そんな感じで、インド人はみんなヒンドゥー教徒だと思ってインドに行くと、町によっては意外にモスクが多かったり、イスラム風の建築が最大の見どころだったりします。ではインドにはどのくらいのイスラム教徒が住んでいるのでしょう。インドにおけるイスラム教徒が占めるパーセントは、13.4%。「少ないなあ」とお思いでしょうか。いやいや、インドは元の人口が多いのです。実はインドには約1億4000万人近いイスラム教徒がいるのです。これは日本の人口を超えていますよね。

ヒンドゥー教のイメージが強いインドだが、実はかなり多いイスラム教徒 ヒンドゥー教のイメージが強いインドだが、実はかなり多いイスラム教徒

イスラム教徒人口の多い州は

インド国勢調査の結果によると、インドの中でもっともイスラム教徒が多い州は、ラクシャディープ州で約95%。もっともこれはインド洋に浮かぶ諸島なので、人口も6万人あまり。次に多いのがジャンムー・カシミール州で、人口の67%がイスラム教徒です。この州はインドとパキスタンが分割独立する時に、住民はパキスタンへの帰属を希望していました。しかしヒンドゥー教徒の藩王が住民に相談なくインドに帰属を表明してしまい、それが現在にいたる紛争につながっています。3位は東インドのアッサム州で31%。紅茶で有名ですが、外国人の立入りが制限されています。まあ、この3つの州はあまり日本人旅行者にはなじみがないでしょう。

イスラム教徒が少ない州もある

4位以下は旅行者におなじみの州が出てきます。4位はコルカタを州都とする西ベンガル州で25%。2000万人ほどのイスラム教徒がいます。インドに少し詳しい方なら西ベンガル州はあっても東ベンガル州がインドにはないことをご存知でしょう。インド独立の際、イスラム教徒が多かった東ベンガル州は、東パキスタンとして分離しました。やがて東パキスタンはバングラデシュとして再独立しました。5位は18.5%のウッタル・プラテーシュ州で約3000万人。州都はラクナウですが、観光地であるアグラやベナレスを抱える大きな州です。以下、10%以上を占める州が、ブッダガヤーのあるビハール州、デリー連邦直轄領、東インドにあるジャルカンド州、バンガロールを州都とするカルナータカ州、コーチンのあるケララ州、ムンバイのあるマハラシュートラ州などがあります。逆に、イスラム教徒が3%以下の少ない州は、インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州、ミゾラム州、ナガランド州、スィッキム州などがあげられます。

イスラム色が強い建築物が多い北インド

あとは、イスラム教徒が多いというだけでなく、北インドでは有名な観光物件にイスラム建築が多いですよね。それもまた“ヒンドゥー教のインド”とはまた違った印象を与えます。ムガル帝国の遺産である、アグラのタージマハルや、デリーのレッドフォート、フマユーン廟などの世界遺産は、ペルシャの影響を受けたイスラム建築です。これらのイスラム建築には、神様の像などのいわゆる偶像はいっさいありません。幾何学模様で装飾された建物は、人間臭い神様たちの像が並ぶヒンドゥー教の寺院と対照的です。こんな水と油のような両教徒が一緒に住んでいるのが、インドらしいといえばそうなのかもしれません。