インドを代表する美術の様式「マトゥラー美術」

「ヒンドゥーの聖地マトゥラー」その1からの続きです。「マトゥラー美術」とは赤砂岩を使った石彫が特徴で、仏教やジャイナ教の石像などがこの地で数多く造られました。衣のひだは体の一部のようにぴったりと体につき、もともとは髪を上に巻いて描かれていたブッダの肉髻は形式化されています。それ以前のギリシャの影響を受けたガンダーラ美術とは異なり、純インド的ともいうべき、洗練されて落ち着いた造形です。当時はそうした石像を作る職人たちがこの町に集まっていたのでしょうね。マトゥラー美術の石像は有名で数も多いので、インド各地だけでなく、世界各地の博物館で収蔵品を見ることができます。

マトゥラー様式の仏像(インド国立博物館/デリー) マトゥラー様式の仏像(インド国立博物館/デリー)

マトゥラーへのアクセスは?

さて、マトゥラーの町へ行くには鉄道で行くのがいいでしょう。というのもデリーやアグラの町は大きいので、町を出るまでに道路は渋滞で苦労するんですよね。特急を使えば、デリーからは所要約2時間、アグラからは所要約1時間ですが、バスの場合はそれぞれ、その倍ほどの時間がかかります。町はヤムナー川の左岸(西側)に位置しています。まずは鉄道駅から2kmほど北にある「クリシュナ・ジャンマブーミー寺院」に行ってみましょう。

クリシュナの生誕地に建てられた寺院へ

クリシュナ・ジャンマブーミー寺院は、クリシュナの生誕地と言われる場所に建てられた寺院群で、小高い丘の上にあります。カメラの持ち込みは厳禁なので、寺院入り口で預けましょう。守衛所からしばらく歩いて行くと、最初に立派な建物がありますが、こちらはムガル帝国皇帝のアウラングゼーブ帝が建てたモスク。わざわざヒンドゥーの聖地に建てるなんて、嫌がらせとしか思えません(現在は閉鎖中)。クリシュナの寺院はその奥にあるバクワット・バワンと呼ばれる建物です。クリシュナを祀るこの寺院は何度も壊されたり建て直しされたりしているようで、現在のものは1982年建立だそうです。

クリシュナ・ジャンマブーミー寺院の中は?

寺院の中は、さすがクリシュナの生誕地らしく、クリシュナの像や絵画がかかっています。境内からはマトゥラーの町が一望できました。その寺院の地下には、「クリシュナが生まれた」とされる場所もありました。家族連れやおのぼりさんも多くのような人も多く、穏やかな雰囲気でした。写真を撮れなかったのが残念です。境内ではクリシュナグッズなど、土産物もたくさん売っていましたよ。マトゥラーの町の他の見どころには、考古学博物館もあります。(その3につづく)