全土に宝石のごとく散らばる建築物

これまでに栄えた数々の王朝が、偉大な建造物を築いてきたインド。壮大な寺院や宮殿建築が各地域で見られ、その形は独特で非常にバラエティ豊かです。そんな建物をまたひとつ知るたび、「こんなすごいものが!」と驚きを禁じえません。インドはまさに「建築の国」と呼んでも過言ではない場所。そんなインドに特有の建築が、今回ご紹介する階段井戸です。これは地下に造られた井戸まで、階段で下りていける建築物で、西部インドで盛んに造られました。このエリアは、強烈な太陽が照り付ける乾燥地域。そのため水は神聖なものとされ、かつ涼しい水辺で過ごせるように、階段状の井戸が造られるようになったのです。その数は簡単なものも含め、全部で数百とも言われています。

「建築の国インド」の、世界遺産に登録された階段井戸がすごい! 「建築の国インド」の、世界遺産に登録された階段井戸がすごい!

繊細な彫刻に彩られたルダの階段井戸

数ある階段井戸のなかでもよく知られているもののひとつが、グジャラート州の州都であるアーメダバード近郊、アダーラジ村にある「ルダの階段井戸」です。16世紀初頭、ヴァーゲラー朝の王妃ルダによって造営されました。南北70m、東西25m、深さ20mほどで、柱や天井は非常に細かい彫刻で飾られています。階段を下りるにつれ自分の視点が動いていくので、この建築生み出すさまざまな美しさを発見でき、いつしか厳かな気持ちになってきます。このような壮麗な建築物は、きっと実用目的だけでなく宗教儀式にも使われたことでしょう。

幾何学模様の階段が目を奪うチャンド・バオリ

一方、最近よく話に聞くのが、ラジャスタン州のアーバーネリー村にあるチャンド・バオリ。こちらはルダの階段井戸とは構造が異なり、クンダ(階段池)と呼ばれます。3方を細かい階段が幾何学的な模様を描きながら水辺まで続き、残り1辺には幾層もある宮殿が建てられています。深さは30mあり、上からの眺めは壮観。ジャイプルとアグラを結ぶ幹線道路の近くにありますが、そこから少し入った所にあるため行きにくく、公共交通機関で訪れるのはちょっと大変です。

巨大で美しいラーニ・キ・ヴァヴ

そして、数ある階段井戸のなかでも最大といわれるのが、2014に世界遺産に登録された、「ラーニ・キ・ヴァヴ(王妃の階段井戸)」です。アーメダバードの約130km北西、パタンの町はずれにある長さ64m、幅20m、深さ27mの構造物は、ヒンドゥー教の膨大な彫刻群で埋め尽くされ非常に見ごたえがあります。かつてこの場所は、グジャラート国の都アナニラパータカとして栄えていました。当時の王妃が慈善事業として階段井戸を建造しましたが、その後長い年月が経つうちに泥に埋もれ、1986年に始まったインド政府の調査によって、再び日の目を見たのです。世界遺産登録をきっかけに、今後整備が進むことが予想されるラーニ・キ・ヴァヴ。建築の国、インドを感じるために訪れてみませんか。