調べるほど面白い場所が見つかる国

仕事柄、インドについて読んだり調べたりする機会が多いと、ときに非常に面白そうな場所や、風変わりな習慣などについての情報を得ることがあります。さすがは広大な領土と長い歴史を誇り、地方ごとの個性が強く、異質なものに寛容なお国柄。まるで掘れば掘るほどお宝が見つかるかのように、未知の物事を発見できるのです。そんななか、最近一番強いインパクトを受けたのが、インド北西部にあるカルニ・マタ寺院でした。ここはなんと、2万匹ともいわれる多数のネズミが住む「ネズミ寺院」。さらにそのネズミたちは、インド人に崇拝され大事にされているとのこと。いったいどんな所なのでしょうか?

ネズミがうじゃうじゃ、世にも奇妙なインドのヒンドゥー教寺院 ネズミがうじゃうじゃ、世にも奇妙なインドのヒンドゥー教寺院

ネズミ寺院の内部には

ネズミ寺院があるのは、砂漠の州として知られるラージャスターン州のビカネール近郊にある、デシュノックという小さな町です。寺院はビカネールのマハラジャによって、20世紀初頭に現在の形になったという後期ムガル様式の建築。ピンク色の美しい建物です。靴を脱いで足を踏み入れると、寺の一角に、たくさんのネズミが群れている場所がありました。床には菓子が散らばり、ネズミたちはその上で走ったり眠ったり、思いのままに過ごしています。ミルクの入った桶があり、そのふちに並んで懸命にミルクをなめるネズミもいます。インド人たちはミルクを注いだり、お菓子を与えたり。聖なるネズミに次々にお供えを捧げていきます。

聖者カルニ・マタ一族の生まれ変わり

それにしてもここのネズミたちは、なぜインド人にあがめられているのでしょう。それは彼らが、カルニ・マタ一族の生まれ変わりだと信じられているため。カルニ・マタは14世紀に生きた女性の聖者で、数々の奇跡を起こし、ドゥルガー女神の生まれ変わりとしてあがめられていました。彼女の継子が池で水を飲もうとしておぼれたとき、カルニ・マタは死の神ヤマに彼を生き返らせるよう懇願しました。そこでヤマは、彼女の息子をすべてネズミに生まれ変わらせることに決めたのです。

世界で一番幸せなネズミたち!?

寺院内にはかすかにネズミの臭気が漂っています。食べきれないほどの食べ物に埋もれ、安心しきってだらしない格好で寝ているネズミもいれば、そこいらを走り回っている元気なやつもいます。時折足元を走りぬけ、しっぽが足に当たるので、そのたびにびっくりしてしまいます。黒ばかりのネズミの中には、稀に白いネズミもいますが、それを見るとラッキーなのだとか。普通は嫌われ者のネズミたちにとって、安全で食べ物も豊富なこの場所はまさに楽園。世界で最も神聖なネズミたちは、世界で一番幸せなネズミたちでもありました。