インドの都市計画に参加した巨匠ル・コルビュジエ

インドとモダンな建築はあまりイメージが結びつきにくいかもしれません。インドといえば伝統的なヒンドゥー文化の国。インドを代表する聖地ベナレスや有名なタージマハルは中世のような雰囲気ですが、実はモダン建築愛好家にとってインドにある2つの都市が、「モダン建築の聖地」になっています。インドには宗教の聖地は無数にありますが、建築の聖地まであるのですね。そのひとつがインド北部にあるチャンディーガル。パンジャーブ州とハリヤーナー州両方の州都となっている都市ですが、モダン建築の巨匠ル・コルビュジエが計画して建設された都市として世界的に知られています。

インドの地方都市はモダン建築の聖地だった(その1) インドの地方都市はモダン建築の聖地だった(その1)

インドはなぜル・コルビュジエに依頼したのか

ル・コルビュジエは1887年生まれのフランスの偉大な建築家です。1931年に「サヴォア邸」を発表し、モダン建築の先駆けとして当時の建築界に大きな衝撃を与えました。サヴォア邸は20世紀住宅の最高傑作のひとつに数えられています。そのような理由から、当時のインド首相ネルーは、一つの都市計画をまるまるデザインさせます。独立間もない新しいインドの都市として、チャンディーガルを伝統に束縛されない、新しい国家のシンボルとして建設させたのです。ル・コルビュジエが依頼を受けたのは63歳の時でした。それから彼はインドに20数回渡航し、チャンディーガルの建設を進めました。

建築史の中で重要なチャンディーガル

チャンディーガルの都市計画は、最初は15万人規模の予定でしたが、最終的には50万人という想定でデザインされました。しかし、その予想を大きく上回り、現在では倍の100万を超える人々が住んでいます。街は大きく居住区、商業区、行政区に分かれています。その間は車で移動することを前提として計画されており、インドの庶民生活とはなじみにくい街造りであったことや、モダニズムへの反動期に多くの批判が湧き起こったこともありました。しかし、現在では都市計画の歴史のなかで重要な都市として、多くの建築家や都市計画家のみならず、社会学者や一般の人々の注目を浴びるようになっています。インド人はチャンディーガルがインドで最も美しい都市であると誇りにしています。