旅の猛者から悪評高き都市、それは?

先日、旅好きな人々の集いに出席してきました。そこで主催者から参加者に対して出された質問に、「これまで行った旅先で『嫌だ』と思った場所はどこですか」というものがありました。参加者は旅のツワモノぞろい。そしてなんと、彼らはかなりの高確率で「インドのデリーが悪印象だった」と答えたのです。世界中を旅している彼らにとっても、デリーは手ごわい都市のようでした。しかし私は、「いや、デリーはいいところでしたよ! デリー最高!」と答えました。

典型的な南インドスタイルの朝食。デリーのホテルにて 典型的な南インドスタイルの朝食。デリーのホテルにて

都会の暮らしは底上げされてきました

私は2016年10月に、久方ぶりにデリーを歩きましたが、昔に比べてなんと歩きやすい都市になったものだろう、と感慨にふけったのです。それは、若い頃に比べて私の旅スキルが上がったということももちろんあるでしょう。けれどもそれ以上に、魔都デリーが昔よりも洗練され、先進国に近づいているという実感があったからです。路上にいる、身体障害者の物乞いの数も昔より格段に減りました。オートリキシャの値段交渉でも、ふっかけてくる金額が常識的(?)。物流やインフラを見ると、暮らしやすくなっていると感じました。

デリー郊外、グルガオンのハードロックカフェ デリー郊外、グルガオンのハードロックカフェ

女性にとってのデリーは?

一番驚いたのは、メトロの中で男性が女性に席を譲る場面を何度も見たことです。私も譲ってもらいました。ここ数年来、デリーは女性に対する暴行事件の報道が目立ちます。こういう事件は他の大都市でも同じように起こりうることだと思いますが、日本ではこの報道が大きく取り上げられているので、「デリーは怖い」という印象を持つ人も多いのではないでしょうか。いくつかの痛ましい事件以来、現政権のモディ首相は、このことを憂慮し、インドは安全な国だと外国にアピールする方針を打ち出したそうです。

メトロには女性専用車両があります メトロには女性専用車両があります

日本人男性も見習ってほしいかも

デリー在住の友人によれば、この方針に賛同したデリーの男性たちが、率先して女性乗客に席を譲るなどの行動を起こしているとのことでした。家庭では奥さんに威張っているような男性も、外では女性に席を譲っているそうですよ。実際に郊外と中心部を結ぶメトロに乗っていると、紳士的な態度の人が多いのです。まず夫婦円満のほうが先だとも思いますが、とりあえず女性旅行者にとっては好印象です。

油断は禁物、でもきっと楽しい旅ができます

おそらく、冒頭の旅人の皆さんが悪印象を持つデリーは、徐々に過去のものとなりつつあるのだと思います。しかしこうなると「昔のデリーの方が刺激的でよかった。今はつまらなくなった」と言い始める旅人も出てくるものです。しかし私は、これは懐古趣味に過ぎないと思います。デリーは旅人のための“肝試しの場”ではなくて、毎日を生きている人々のための都市です。謙虚な気持ちを忘れずに旅をしたいものですね。デリーは決して、怖い都市でも悪人しかいない都市でもありませんよー!