遺跡内に入り、最初の壁画を見つける

岩山の頂上は巨石がゴロゴロとしていました。順路に沿って中に入ります。自然の浸食によって岩の上部がせり出し、ちょうど雨風や強い日差しを避けられるようになっている場所がいくつもありました。こうした場所で石器時代の人々が暮らしていたのです。ここからは人骨や動物の骨、石器、そして岩壁に描かれた壁画が見つかっています。遺跡公園に入って最初にある岩絵は、「シェルター1」と名付けられた場所にありました。「槍を持ってゾウにまたがった人物」が小さく描かれています。隣にはもう1頭、ゾウの絵が白くハッキリと描かれていました。すでにゾウを飼い馴らしている時代のものでしょうか。

先史時代の壁画が残る世界遺産、インドの「ビームベートカーの岩陰遺跡」へ行こう! 後編 先史時代の壁画が残る世界遺産、インドの「ビームベートカーの岩陰遺跡」へ行こう! 後編

壁画と手形がある岩のトンネル

順路を進むと次に「オーディトリアム・ケイブ」という岩のトンネルに出ました。ここには何頭ものウシの絵が茶色で描かれています。輪郭の線がだいぶこなれて、手馴れた感じで描かれているので、時代は後のほうなのかもしれません。岩壁の上部には、当時付けられた小さな手形があります。これらの壁画を描いた絵師のものでしょうか。その手形のレプリカが順路に置いてあり、手を合わすとその手がかなり小さいのが分かりました。石器時代の人々はかなり小柄だったようです。

巨大なバッファローに追いかけられる人間

順路をさらに進むと「シェルター4」に出ます。ここは前半のハイライトともいうべき所で、かなり薄くはなっていますが、数十頭のウシやシカ、ゾウなどの動物の絵が描かれており圧巻です。狩猟の対象を描いたものでしょう。その後、いくつかのシェルターを通り抜け、7〜8分で一番奥にある岩壁画の「シェルター15」に着きました。この岩壁の上部には茶色で、バッファローに追いかけられる人物がユーモラスに描かれています。何といってもそのバッファローがゾウよりも巨大に描かれているのです。何でそう大きく描かれているのか、特に説明板には書かれていませんでした。しかし見た目のインパクトから、まちがいなくこの絵が後半のハイライトでした。

これもまたインドの歴史を知る一端

ここで折り返し、帰りは違う経路をたどって入口に戻りますが、途中にある「シェルター7」では槍を持った騎馬の人間の姿が描かれています。一般的な歴史では騎馬はアーリア人がもたらしたものなので、これはきっとそれ以降に描かれたものでしょう。しかし一部のインド人は、「騎馬はアーリア人がもたらしたものではなく、インド人が伝えた」と考えている人もいるようです。「岩陰画の観光」というとかなりマニアックな感じがしますが、ふだんはなかなか見る機会は少ないので面白いと思います。インドというとヒンドゥー寺院やイスラム建築のイメージが先行しますが、こうした先史時代の文化を知るのもまた面白いでしょう。