遺跡を歩きながら、さまざまな思いが去来します

「デリー郊外の廃墟トゥグラカバード」前編からの続きです。トゥグラカバードは、約700年前の遺跡です。モンゴルの襲来に備えて築かれた城砦だそうです。700年前といえば、日本では鎌倉時代の終わり頃。鎌倉時代中期には、モンゴル帝国は日本にまで攻めてきたのですから、中世の世界にとって、いかにモンゴルが脅威であったか、よくわかりますね。しかし今、この打ち捨てられた都の跡は、ただ静かです。あまりひとけがないので、インド人カップルがデートに訪れ、遺跡の陰でくつろいでいます。楽しげなその様子は、周囲の風景とはミスマッチで、時間の流れをいよいよ感じます。

入り口から少しの間だけは、こんなふうにきちんと整備されています 入り口から少しの間だけは、こんなふうにきちんと整備されています

時間の旅をする気分になります

建設当時には立派だったであろう城砦が、700年のうちに少しずつ崩れていったありさまを想像しながら歩いてみましょう。崩れかけた門や砦の素朴な装飾を見つめていると、これが過去のあるとき「ボロッ」と崩れた日があったのだ、そして未来のあるときに、またさらに崩れる日が来るのだ……と考えたりします。このあと、インドの当局が補修や修復をどの程度進めるのかは分かりませんが、現在の、かなりむき出しに廃墟が残っている状態を見に行くことは、価値があると思います。

朽ちるに任せています 朽ちるに任せています

「自称ガイド」はやっぱりいますが……

さて、そんな歴史ロマンに思いを馳せているヒマもなく、ここはやはりインドなので「自称ガイド」が近づいてきます。私に話しかけてきたのは、長い警棒を持った正規の監視員なのですが、バイトで勝手にガイドをしているのでしょう。小高い遺跡に登って周囲を見渡すと、自称ガイドが説明をしてきます。ガイド料100ルピーでどうだ、と聞かれましたが、短時間だったので50ルピーだけ渡しました。少しも払いたくなければ、勝手に説明し始めた時点できっぱり断れば大丈夫です。何人か寄ってきましたが、皆あまりしつこくはありません。

ガイドさんがいると、高台に登って遺跡について教えてくれます ガイドさんがいると、高台に登って遺跡について教えてくれます

素朴さに好感が持てる場所ですよ!

遺跡の奥へ奥へと進んで行くと、原っぱと牛だけの空き地に出ました。そこに男性が3人でくつろいでおり、「これ以上奥に行くのは危険だよ。戻った方がいい」と忠告してくれました。私が女性で一人だったので、心配したようです。チケットオフィスにいた人たちも、なかなか親切でした。ついでにサルもまだ人ズレしていず、ここは全体にまだのどかで素朴なスポットだといえます。歴史好きのみならず、ぼろぼろの廃墟なのでフォトジェニック。写真好きな人にもうってつけです。レストランやトイレはないので、しっかり準備をして行ってみてくださいね。

本格的に何もなくなり、「引き返せ」と忠告をされた地点 本格的に何もなくなり、「引き返せ」と忠告をされた地点