旅行者を騙し続けて何十年?

かつては世界中の大都市には、必ず怪しげな旅行会社があったものです。しかし警察の摘発を受けたり、割が合わなくなったり、または旅行者が引っかからなくなったりと、時代の流れと共にその数は減り、今ではそんな「旅行会社に騙された」話はほとんど聞かなくなりました。ただし「デリー」ではそんな悪質な旅行会社は健在?です。インドの首都デリーは、たいていの旅行者がインドの旅の第一歩を始めるところ。つまり、インド初心者が一番多い所でもあります。空港に降り立ち、不安と緊張に包まれているそんな旅のビギナーを、今でも毎日何組も騙している“その道何年”のベテランが狙うのだから、ひとたまりもありません。

こんな現地旅行会社にご用心。デリーで多発する悪質な旅行会社による被害その1 こんな現地旅行会社にご用心。デリーで多発する悪質な旅行会社による被害その1

空港から市内の“ツーリストオフィス”に直行

典型的な例を挙げましょう。大学生のAさんがデリーの空港に降り立ったのは午後9時。早速プリペイドタクシーに乗って、ホテル街のあるメインバザールを目指そうとしました。しかし運転手は、「今日は大きなお祭りがあってメインバザールのホテルはフルだ。政府のツーリストオフィスへ連れて行くから、そこで別のホテルを紹介してもらいなさい」と半ば強引に彼を連れて行きます。彼が着いたのは町の中心のコンノートプレイスの一角。看板には「Government」「Tourist Information」の文字が大きく書かれていました。

どのホテルも満室とあきらめさせる

中ではスタッフがタクシー運転手と同じことを言いますが、Aさんもすぐには信用しません。係員「どのホテルに泊まりたいんだ」、Aさん「このガイドブックに出ているこのホテルだ」。係員「では、電話を貸すから自分で確かめてみなさい」。英語が上手ではないAさんですが、まず1軒。しかし「フル!」、次のホテルも「フル!」の返事。3軒続けて断られ、Aさんは「やはり言っていることは本当なのだな」と思います。「ではホテルを紹介してください。なるべく安い所」。係員「今日はデリー市内のほとんどのホテルはフルだ。しかしきみは幸運だ。さきほどキャンセルが出たホテルがあると聞いた。そこに電話してみよう」。そうしてAさんは節約旅行のはずが、デリー到着早々に1泊300ドルのホテルに泊まることになるのです。

翌日、初めて気がつく旅行者

まず常識的に、街中の政府のツーリストイオフィスがそんな夜に開いているはずがありません。Aさんは看板を観て確認したといいますが、よく観ると「Government Authorized(政府が認可した)」と表示してあったようです。次に電話ですが、この電話は“どの番号にかけても同じ電話につながる”仕組みになっています。「そういえば、どのホテルも声が同じようだった」とAさんは後から気づきました。そしてお祭りがあって混むことがあっても、とにかくホテルの数が多いので行けば何とかなります。翌日、メインバザールのホテル街にたどり着いたAさんは、昨日お祭りがなかったことを知り、そこで初めて自分が騙されていたことを知ります。そして300ドル払ったホテルが、インドでは50ドルの値打ちもなかったことも。