世界でここだけ? 見たことのない絶景が広がっている!

インドのデカン高原にあるハンピは、世界遺産に登録される以前から欧米人に人気の場所でした。引き寄せられるように人々が集まるのです。インドを長期旅行中だった僕は、そんな風の噂に誘われて行ってみることにしたのです。最寄りの町はホスペット。バンガロールやゴア、ハイデラバードからバスで10時間前後です。僕はハイデラバードから向かいました。ホスペットに着いたのは朝、そのままローカルバスに乗り換えます。ヤシやバナナ、サトウキビが生い茂る何の変哲もない田舎道を行きます。視界が開けてきたなと思ったら、大地から緑がすっかり姿を消して、あたりはゴロゴロとした大きな石が転がるような場所。小高い山まで石ころの山。「なんじゃあ、これは!」と僕は心の中で叫びました。そう、まるで石の惑星なのです。その中に川がゆったりと流れています。地球上にもこんなところがあったのかと、素直にビックリしました。

インドのハンピは石の惑星? 世界遺産で絶景のパワースポットに長居する! インドのハンピは石の惑星? 世界遺産で絶景のパワースポットに長居する!

ハンピは勝者の都だった

バスが止ったのは、ドラヴィダ式の白いヒンドゥー寺院の前でした。シンガポールやマレーシアでも見られる塔のような寺院で10層以上あり、青い空の下、ゆらゆら揺れているように見えます。それがヴィルーパークシャ寺院です。ハンピが栄えたのは14世紀から17世紀で、ヴィジャヤナガル王国の首都でした。ヴィジャヤナガルは「勝利の都」という意味だそうです。往時には200万人もの兵士を抱え、都の人口は50万人、当時北京に次ぐ世界第2の都市だったという説もあるほどです。周囲の岩々は、猿の神様ハヌマーンが、武器として投げたものが残ったのだとか。神話は壮大な想像力をかきたててくれます。しかしこの時はまだ宿がほとんどなく、多くの欧米人たちは日帰りで帰って行きました。今ではゲストハウスが建てられましたが、それでも年末年始ともなると宿代が高騰し、おかげで今でもホスペットに泊まる旅行者も多いようです。

パワースポットの大地の力

僕は民家の空き部屋に泊めてもらいました。どうしてもハンピから離れたくなかったからです。素晴らしい岩の絶景を、朝昼晩と拝めていたい。大地の力を感じていたい。そんな気分だったのです。自転車を借りて隣のカマーラプラム村に行くと圧巻の遺跡が待っていました。戦車の代わりに使われたゾウ舎がきれいに残されています。カジュラーホーのようなミトゥナ像(男女交合像)もエロチックで素晴らしいです。そして何より、石の惑星のような雰囲気が、なおのこと神々しく感ぜられ、1週間の滞在中、僕は何枚も岩山のスケッチを描いたほどです。そして宿に帰れば、子供たちがまとわりついてきます。大人たちも、田舎らしい素朴さにあふれていました。町よりも村好きな僕にとっては、実に心地いい所だったのです。今でも雰囲気は変わらず、長居する旅行者が後を絶ちません。ゆっくりハンピでぼんやりと過ごしてみてはどうでしょう?