西インドに多い、貴族の邸宅ハーヴェリー

インド西部、砂漠地方のラジャスターン地方やグジャラート地方には、「ハーヴェリー」と呼ばれる建築があります。ハーヴェリーとは中世の貴族や豪商の私邸のことで、邸宅にはカラフルなフレスコ画が描かれていたり、意匠を凝らした繊細な彫刻が施されています。ラジャスターンでは今、このハーヴェリーを改装したプチホテルが人気です。わたしは今回、ジョドプールでハーヴェリーのホテルに泊まってみました。ジョドプール旧市街は、外壁を青く塗った家屋が並び、“ブルーシティ”と呼ばれています。城壁に囲まれ、中心の小高い岩山の上に壮大なメヘラーンガル砦が聳える城塞都市です。

絶景! ホテルから見上げたメヘラーンガル砦とブルーシティ 絶景! ホテルから見上げたメヘラーンガル砦とブルーシティ

絶景を望むジョドプールのハーヴェリー宿

わたしがジョドプールで滞在したのは、『Singhvi's Haveli Hotel』。この町のホテルのほとんどがメヘラーンガル砦の展望を売りにしていますが、このプチホテルも上階から砦を望むことができます。砦が立つ岩山の裾の部分に建物が造られているので、砦がすぐ真上に見えて迫力の展望です。しかも、一般的な旧市街からの砦の眺めは、南から砦全体を仰ぐものが多いのですが、ここは砦の西端にあるチャームンディー・デーヴィー寺院が真上にあり、朝晩のプージャ(儀式)の声も聞こえてきて、他の宿では見られない景観を楽しむことができました。

ちょっと不便だけれど、雰囲気満点

このハーヴェリーは斜面上に立っているので、玄関のある地階からスイートルームのある4階まで、階段で上り下りしなければならないのがちょっと面倒でした。また、富豪の邸宅といっても18世紀の古い建物ですから、現代建築のモダンなホテルのような機能性・快適さを重視する人には、不便に感じることが多いかもしれません。これはこのホテルに限らず、ハーヴェリーを利用したホテル全体にいえることでしょう。しかし、部屋ごとに異なる内装や調度品を楽しみ、建てられた“時代”に思いを馳せることができるハーヴェリーの魅力は、欠点を補ってなお余りあるものだと思います。

ラジャスターンでプチ・マハラジャ気分

わたしは今回、初めてハーヴェリー建築のプチホテルに泊まったのですが、以前泊まったモロッコの邸宅ホテル「リヤド」を思い出しました。リヤドはイスラム教のシンプルな幾何学模様の意匠が美しいエキゾチックな建物です。ジョドプールのハーヴェリーでは、リヤドとは対照的な緻密で豪華な装飾に囲まれて、ちょっとだけマハラニ(藩王マハラジャの妃)気分を味わうことができました。インドには本物のマハラジャの宮殿ホテルというものもありますが、ハーヴェリーのホテルならずっとお財布に優しくて、気軽に泊まれ、なおかつリッチな気分が味わえます。みなさんもチャンスがあったら是非、西インドのハーヴェリーのホテルに泊まってみてください。