バスツアーも中断。引き返すしかないのか

ラダックへの道中、落石による道路の崩壊でバスツアーは中断してしまいました。それでも崩落現場を徒歩で越えるからそこまで連れて行けと言い張る欧米人旅行者と、高山病になりかけている老人がいるからどこかの街までバスで送っていけと言い張るインド人。両者の言い合いは果てしなく続きます。付き合いきれなくなった私は、そのバスと運命を共にするのをやめ、知り合った日本人旅行者数人を誘って、崩落現場から戻ってくる小さな乗り合いバスに乗り換えました。我ながら完璧なスケジュールだと悦に入っていたこの旅行。ラダックには、長年憧れ続けてきました。しかし、重い荷物を背負って、徒歩で崩れた道路を何キロも歩くなど、できるわけがありません。ツアーバスの乗客同士の言い争いがいつまで続いたのかは知りませんが、いずれにしろラダックはあきらめるしかないのです。インドヒマラヤの山並みを振り返り振り返り、引き返しました。ガタガタに崩れたスケジュール。さあどうする?

自由旅行はスケジュールがコロコロ変わって当たり前。インドヒマラヤ旅行の例(後編) 自由旅行はスケジュールがコロコロ変わって当たり前。インドヒマラヤ旅行の例(後編)

ダライ・ラマ法王の法要に行ってみようか?

たまたまデリーで知り合った日本人から、3日後にダライラマ法王が「カーラチャクラ」という大きな法要を行うと聞いていました。場所は、ここジャンムー・カシミール州の隣ヒマーチャル・プラデーシュ州にあるスピティという村です。その人はカメラマンで、カーラチャクラに集まるチベット人の撮影をするとのことでした。ラダックは無理でも、同じチベット世界。こうなったら行ってみよう、そのスピティとやらに。それから、地元の人たちに行き方を尋ねつつ3日がかりでバスやら乗り合いジープやらを乗り継ぎ、どうにかこうにか法要が行われるスピティのテント村にたどり着いたのです。

今でも夢のような、ヒマラヤ世界での右往左往

ラダックで有名なゴンパ(チベット仏教僧院)を見学して、あそこへ泊まって、あそこで食べて……と緻密なスケジュールを立てていたのに、どうして自分はここにいるんだろう?ガイドブックにもめったに載っていない、このようなへんぴな山奥に?テントに泊まってダライラマ法王の法要に参列している間じゅう、私は幸せな気持ちでしたが、同時にとても不思議で、どこか現実ではないような感じが続いていました。デリーでのフライトキャンセルから緊張と興奮の連続で、あまりにもスケジュールとちがう怒濤の展開になったことに目が回ってしまったんですね。この旅が終わってしばらく経ってから、やっと「楽しかった」と素直に思い返せるようになりました。旅はスケジュール通りにはいかず、狂って当たり前、むしろ狂ったときにこそ真の面白さがあるのかもしれません。それくらいの大きな気持ちで楽しめれば、旅のベテラン。でもそのことと“無計画”とは別ですから、身の安全のために最低限の下調べはしていきましょう!