なぜお寺の内外に温泉があるのか

インドの温泉について見聞きしていると、ちょっと不思議に思うことがあります。それほどたくさんあるとはいえないインドの温泉の多くが、なぜか宗教と関わりがあるのです。ブッダが修行をしたことで知られるインド東部のラージギルには、温泉が湧くヒンドゥ寺院があります。またインド北部の四大聖地のひとつであるヤムノートリーやバドリナートでも、ヒンドゥ寺院の内部や近くから温泉が沸き、人々が沐浴をしているそうなのです。水を神聖視するインド人にとっては、沐浴場は身を清めるための大事な施設で。特に標高が高く寒い場所であれば、その水が温泉であることが望ましいのかもしれません。

インドの温泉はお寺にある? その1 ヴァシシュト温泉 インドの温泉はお寺にある? その1 ヴァシシュト温泉

インドの山奥の温泉寺へ

そんなお寺と深い関わりのある温泉のひとつを訪れてきました。インド北部の町マナーリー郊外にある、標高約2000mのヴァシシュト村です。マナーリーは高原の観光地として、またさらに標高の高いラダックやスピティ地方への入口であることから、旅行者も多く訪れる場所。そこから約3km北の山中にあるヴァシシュトも、インドでは比較的よく知られている温泉です。マナーリーからオートリクシャという乗り物に乗って、急な坂道を登った突き当たりが、ヴァシシュト村の中心です。

温泉は神聖な場所。無料だけど靴は脱いで

ヴァシシュトのメインストリートには商店やレストランなどがひしめき合い、小さい村でありながらもにぎやかです。村の中心部に、目指すヴァシシュト寺院がありました。屋根は石ぶきで、建物は木と石を組み合わせ、入口には美しい木の彫刻があるこの地域独特の建築です。近くに湯が湧き出している場所があり、村人が衣類や食器などを洗っていました。温泉村ならではの光景を見て、気分が少し盛り上がります。そしていよいよ寺院の内部へ。入場は無料。神聖な場所なので、必ず靴を脱いで入ります。

入浴時はパンツをはいたまま

寺院の内部には吹き抜けの中庭があり、それを囲むように神を祀るお堂や、男女別の入浴スペースがあります。女性用の浴室内は洗い場と浴槽に分かれ、洗い場で汗を流してから湯に浸かります。このとき上半身は裸になっても、下は脱がないのがマナー。パンツまたは水着で入るといいでしょう。壁が高いので外からは見えず安心で、荷物は浴槽のすぐわきの壁のくぼみに置けるので、盗難の心配もありません。ただし残念だったのは、湯がかなり汚かったこと。訪れた日はちょうど何かの儀式があった日で、早朝に現地の人々が大勢入浴したからだそうです。それでも温度はちょうどよく、とても気持ちがいいお湯でした。なるべくお湯を見ないようして、インドらしいこの温泉を楽しみました。