日本で神戸にしかないインドの宗教施設とは

前編では「東京と神戸にしかない」シナゴーグと本格的なモスクを見てきましたが、次にまわるのは日本で唯一のものです。ぴかぴかに磨き込んだ大理石の寺院を見ると、反射的に靴を脱いで、裸足の足の裏に直接ひんやりした石の感触をたしかめたくなってくる——、まさにインドにいる感覚。北野の「バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院」は、日本唯一のジャイナ教寺院なのです。ジャイナ教は、前6世紀から前5世紀にかけて、インドのヴァルダマーナ(尊称マハーヴィーラ)が開いた宗教で、徹底した不殺生主義で有名です。

モスクにシナゴーグにジャイナ教寺院まで。神戸の「異国情緒」はホンモノだ!(後編) モスクにシナゴーグにジャイナ教寺院まで。神戸の「異国情緒」はホンモノだ!(後編)

インドらしさを感じさせるジャイナ教寺院の意匠

キリスト教や仏教のように世界的に広がっていくことはなかったにもかかわらず、そこはさすが古くからの国際都市・神戸。日本在住の信者からの浄財により、この寺院が建てられました。私もムンバイとカジュラホでジャイナ教寺院に行ったことがありますが、ヒンドゥー教寺院よりも激しさや過剰さがなくて、たおやかでやさしげな印象を持っています。そして、装飾にゾウやシカが現れるのはやはりインドらしいところです。

真の意味の国際都市・神戸

異人館の建ち並ぶ界隈は、観光客が切れ間なく歩いていますが、この寺院の建つ辺りは人通りも少なくて静かな住宅地です。こんなにめずらしい、国内唯一のジャイナ教寺院なのに、ふつうの民家と軒をくっつけるようにして建っているのです。せまい道路で地元のおばさんと挨拶し、鳥居のような門をひょいとくぐって参拝に来たのは、痩せたインド人のおじいさん。懐深い光景です。彼らにとっての北野は、この寺院と隣接する観光地帯を見に来た人々にとっての北野とはまるでちがう存在なのでしょう。

異国に思いを馳せるきっかけにも

東京と神戸にしかない、ミナレット(尖塔)とドームを備えたイスラムのモスクとユダヤ教のシナゴーグ、そして日本唯一のインドのジャイナ教寺院をまわってみました。日本国内で、これまで旅してきた国々の思い出をたどるのもよし、ここをまわってから本場へと旅立つのもよし。宗教施設を通じて日本と外国とのつながりを考えるきっかけになることでしょう。