ムンバイにある屋外洗濯場を見てみたい

久しぶりに訪れたムンバイ。前回来たのは、この街がまだ“ボンベイ”と呼ばれていた頃でした。まだまだ旅慣れておらず、カオスのようなインドの大都会をおっかなびっくり歩いたのを思い出します。今回は、名所旧跡よりも庶民的なエリアを歩いてみようと思い、フォート地区やイスラム教徒が多く住むジャマー・マスジッド周辺に出かけました。そして、もう一か所、どうしても行ってみたかったのが、ムンバイで最大規模の屋外洗濯場「ドービー・ガート」です。100年以上続く洗濯場ですが、初めて来た頃は、旅人にはその存在すら知られていなかった場所です。

高層ビルと100年続く洗濯場のコントラストがすごい! 高層ビルと100年続く洗濯場のコントラストがすごい!

カースト制度は生まれながらの職業の区分

インドのカースト制度については、みなさんも社会科の授業で学んだ記憶があるのではないでしょうか。バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの4つに分かれる身分制度で、差別的な制度としてネガティブな印象を持つ人も多いでしょう。この4つの属性はヴァルナと呼ばれ、社会構造上、支配者と被支配者とを分けるものでした。その後10〜12世紀頃に、ヴァイシャとシュードラはジャーティーと呼ばれる2000以上の世襲の職業集団に細分化していきます。

映画にもなった、100年以上続く洗濯場

ヒンドゥー語でドービーは“洗濯”、ガートは“場所”を表します。ドービー・ガートは、洗濯人のジャーティーに生まれたドービーマンたちが、100年以上前からひとつの地区に集まって暮らし、ムンバイのホテルや国鉄、病院や一般家庭から集めた洗濯物を、機械に頼ることなく昔から同じ手法で手洗いし、乾かして配達するという作業を共同で行っている場所なのです。2010年にはここを舞台とした「DHOBI GHAT」という映画がインドで制作されました。主役はインドのトップ俳優アーミル・カーン。坂本龍一が楽曲を提供したこの映画は、トロント映画祭でプレミア公開されました。日本では公開されなかったようですが、是非観てみたいですね。

近郊列車の近代的な駅ビルにビックリ

ドービー・ガートは、ムンバイの近郊列車ウエスタン・レイルウェイの、マハーラクシュミー駅の隣にあります。私はフォート地区に宿を取っていたので、始発のチャーチゲート駅から列車に乗ることにしました。27年ぶりに訪れたチャーチゲート駅は、イギリス植民地時代のコロニアル建築の旧駅舎の向かいに、ものすごく立派な新しい駅舎ができていてビックリ。切符はオンラインで発券され、なんのストレスもなくスムーズに買えました。切符ひとつ買うのにも苦労した昔を思うと、隔世の感があります。しかし乗り込んだ列車は昔のままのオンボロな車両で、なんだかちょっとほっとしたのでした。(後編に続く)