インドに存在する対極的な風景

筆者は南インドに長く滞在していたのですが、インドの北西部、パキスタンとの国境にも近いラージャスターン州を訪れた時には、実に驚きました。椰子の木が生い茂り南国感あふれる南インドと、ラクダが行き交う乾燥した半砂漠地帯のラージャスターンでは全く様相が異なるのです。人々の顔や空気、食べ物に芸能。なかでも女性の民族衣装の鮮やかな色使いや装飾品の美しさはインド随一と言ってよいかもしれません。同じインドとは思えないほどの振り幅に唖然としました。

鮮やかな色彩に息をのむラージャスターンの民族衣装 鮮やかな色彩に息をのむラージャスターンの民族衣装

ミニバスを彩る極彩色の女たち

州都のジャイプールではまだサリーを着た女性も多いのですが、州の西半分を占めるタール砂漠に入りこむとエキゾチックさはどんどん増してきます。とある楽器職人を探してパキスタン国境に近い村に向かうミニバスに乗り込むと、車内は極彩色の民族衣装の女性だらけ!サリーではなくガーグラーと呼ばれるプリーツの入ったフレアスカートに様々な刺繍の入ったブラウスを着て、ヴェールをかぶっています。あまりにも鮮明な色彩に息が止まりそうになりました。

アクセサリーのオンパレード

足元を見やると銀製のアンクレットが光っています。彼女らはネックレス・指輪・鼻輪・イヤリング・ブレスレット・腕輪・アンクレットなど身体のあらゆる部位に細やかな彫刻をほどこしたアクセサリーを身につけています。ある人はあごにまで届かんばかりの大きな金色の鼻輪をつけ、またある人の額飾りは耳を通して鼻輪にまで美しいチェーンでつながっています。乗り合いバスを利用していることから考えると、彼女らは富裕層ではないのですが、それでもこの華やかさ。ダイヤモンド・エメラルド・ルビーなどの宝石を散りばめた装飾品を使うという王侯貴族だったら、実に目も眩まんばかりの豪華絢爛さだろうと夢想してしまいます。

女性に負けず男性もお洒落!

筆者の住んでいたタミル・ナードゥ州では、既婚女性は結婚の証にターリーと呼ばれる首飾りをつけますが、さすがにラージャスターンほど派手ではありません。聞くところによると、ラージャスターンでも昔は男性も装飾品をたくさんつけていたようですが、現在では指輪やピアスをするぐらいで、いつの間にかその習慣はなくなってしまったようです。それでも、立派な髭を伸ばし、カラフルなターバンを頭に巻きつけている男たちを見るだけでも、十分にエキゾチックな気分を味わうことができます。ラージャスターンがインドの一大観光地であることも実にうなずけます。