インドの街中のいたるところで「オーム」に出会う

インドでヨガのクラスに参加すると、ほぼ必ず「オーム」を唱えることから始まり「オーム」を唱えてシメます。瞑想の時も同じ。リシケシやバラナシなどでババ(修行僧)に出会うと、挨拶代わりに「オーム」。お寺やアシュラムなどで注意をひきたい時にも、「ちょっと!」みたいなかんじで「オーム!」と声をかけられます。また、インドの街を歩いているといたるところで「30」のようなマークが目に付きますが、これがその「オーム」。インド旅で避けては通れないこの「オーム」という言葉。何やら重要なキーワードのようですね。一体何なのでしょう。

この「オーム」のマークも街中で必ず目にするはず この「オーム」のマークも街中で必ず目にするはず

いろんな意味や解釈がある

調べると、「オームとは、ヒンドゥー教やバラモン教における神聖な呪文」とのこと。さらに掘り下げていくと、ヒンドゥー教やバラモン教、ひいては仏教やヨガ、アーユルヴェーダなどのルーツにもなっている、大昔の聖典ヴェーダからきているようです。ヴェーダによると「オーム」は「根源的な宇宙の音」。この音節はすべての音の源であり、宇宙の果てにもこの音が存在すると考えられています。また、「オーム」を弓、「人間」を矢、「神」を的に例え、人々が神に近づくための神聖な音だという考え方もあります。こんなシンプルな音に、これほど深い背景と壮大な世界観が広がっていたとは……。

「a」と「u」と「m」からできている

この「オーム」、「om」と綴ることが多いですが、実際は「a」と「u」と「m」の3つの音から成り立っています。ヒンドゥー教では、「a」は維持の神ヴィシュヌ、「u」は破壊の神シヴァ、「m」は創造の神ブラフマーを表しているとされ、三神一体(3つの神がセットでひとつの神という考え方)を表しています。もしくは、「a」は私たちが生きている現実世界、「u」は夢を見る浅い眠りの世界、「m」は夢も見ない深い眠りの世界とし、この3つを唱えることで、その先の何もない静寂の世界に流れることができるという解釈もあります。この「静寂の世界」つまり「時間や空間、物質など何もない世界」にいる自分こそが「本当の自分」なのだと言われています。

「オーム」を声に出してみよう

何だかちょっと難しくなってしまいましたが、とにかく「オーム」という音には、深ーい意味がぎゅぎゅぎゅっとつまっているようです。宗教が生まれる以前の大昔から唱えられ続けている、とてもピースな言葉だったんですね。インドの神聖な地に踏み入れた際は、ぜひ心を込めて「オーム」と声に出してみてください。ポイントは、背筋を伸ばして深く息を吸い込んだあと、外に出すというより低い声で体中に響かせるイメージで発してみることです。きっと心身ともに清められ、神聖な空気が体にすっと入ってくるのを感じるはずですよ。