行きやすさでは四大聖地の中で随一のサルナート

インドを周遊するタイプの旅行者が、もっとも訪れやすい仏教の四大聖地が、このサルナート(鹿野苑)ではないでしょうか。北インド有数の観光地であるベナレス(バラナシ)からわずか10kmほどの距離にあり、ベナレスから3時間ほどあれば簡単に往復できるからです。他の聖地が、幹線から離れた小さな町や村にあるのに対し、サルナートは都市であるベナレスにあるといってもいいぐらいの場所にあるのです。

「仏教」が成立した記念すべき場所

覚りを開きブッダとなったシッダールタですが、まだ自分の教えを人に伝えていませんでした。どうも「人に伝えても誰も理解してくれないだろう」と、自信がなかったようです。しかし彼がブッダガヤーからこのサルナートまで来たとき、前正覚山で一緒に修行をした5人の仲間と再会し、最初の説法(初転法輪)を行います。5人の比丘は、教えを受けてその場で帰依しました。信者が生まれて、初めて宗教となりえるのですから、教団としての仏教はここから始まったと言えます。

記念の地にひときわそびえるストゥーパ(仏塔)

サルナートの中心は、初転法輪の地に建つ6世紀に造られたという高さ43mのダメーク・ストゥーパです。レンガがむき出しになっていますが、かつてはネパールやミャンマーのストゥーパ(仏塔)のように、白い化粧岩で覆われていたのでしょうか。周囲にはかつてあった僧院の土台の跡が残っています。ストゥーパの周囲は遺跡公園になっており、夕暮れ時にはピクニックがてらやってくる地元の人もいます。公園の周辺には、他の聖地同様に日本寺院をはじめタイ寺など各国の仏教寺院が点在しています。

ベナレスから個人でも行ける距離にある

サルナートへの行き方ですが、個人で行くならホテルにタクシーを呼んでもらうか、町なかを走っているオートリクシャー(三輪タクシー)で行くのが一般的です。オートリクシャーの料金は、待ち時間を入れて往復で350ルピー(約700円)ほどですが、言い値はその倍ぐらいなので、辛抱強く交渉してください。ストゥーパと道を挟んだ向かいには考古学博物館があり、サルナート出土のアショーカ王の石柱の頂部にあったライオン像が展示されています。