限りない犬への愛情

旅をして心に残るお気に入りの場所、わたしの場合は「食」と「動物」が決め手になります。旅先で撮ってきた写真を見せた友人に「あんたの写真は犬と猫ばっかりだねえ」と呆れられるほど、動物、特に犬には格別の愛情を持っています。犬が道端にごろごろしていると、犬を見るのに夢中でなかなか前に進めません。中でも、繋がれていない自由な犬の多いところは天国といってもいいでしょう。ミャンマーのヤンゴンに着いたとき、飛行場の滑走路のすぐそばを犬がとことこ歩いているのを見た時は、安全云々よりも「この国はすごくいい!!」と感動したものです。

イヌ派におすすめのイヌ天国はインドのベナレスとグリーンランド イヌ派におすすめのイヌ天国はインドのベナレスとグリーンランド

ベナレスは犬だらけ

犬の写真が圧倒的に多かった場所は、まずはヒンドゥー教の聖地、インドのベナレスです。ガンジス川沿いのガート(沐浴場)も裏路地も、至るところ犬だらけでした。多くの犬は「半野良」とでもいうのでしょうか、特に飼い主が定まっているわけではなさそうでしたが、人間に対して攻撃的な様子を見せることもなく、表情は穏やかで、軒先やガートでごろごろしている犬ばかりでした。もちろん、狂犬病の恐れもあるので、わたしも気安く犬に触ったりはしません。ぎりぎりまで近づいて、しばし微笑みつつ目で愛でて、写真を撮ってお別れします。

ペットではないけれど共存する命

ベナレスの裏路地の雑貨屋の前に、子犬を5頭連れた母犬がいました。かわいいなあと思って見ていると、その雑貨屋に牛乳の配達に来た男性が、牛乳の缶からコップ一杯の牛乳をすくって、犬の親子のいる階段にざっと流したのです。子犬たちがそれを飲むのを母犬は後ろからじっと見ていました。名前を与え、ペットとしてかわいがっているのではないけれど、「命を持つもの同士ああして共存しているんだなあ」と、ちょっと感動しながらその光景を見ていました。いじめられず飢えず、そして自由に生きていられるから、ベナレスの犬たちは穏やかな表情をしているのかもしれません。

グリーンランドの夏は子犬だらけ

グリーンランドの南東部にあるアンマサリクを訪れたのは7月の白夜の頃でした。グリーンランドでは、冬の移動や狩に犬ぞりが活躍します。ですから、多くの家で数頭のそり犬が繋がれて飼われています。ちょうど繁殖の時期だったのか、コロコロに太ったそり犬の子犬たちが、あちこちの野原を転がるように歩きまわる姿が見られ、そのラブリーさに骨抜きにされてしまいました。繋がれた成犬たちは近づくと興奮して吠えまくるのですが、もふもふの子犬は触り放題。ダイナミックな自然の美しさもさることながら、あの子犬たちと戯れるために、もう一度行ってみたい町のひとつです。