伝統家屋は実用的ではない?

インドネシアのスラウェシ島中央の山間部に住むトラジャ族。その彼らの伝統家屋のトンコナンハウスの話の続きです。さて、この木造の伝統家屋ですが、現在、住民はそばに現代的な住居を建て、そちらに住んでいます。そしてこんな伝統家屋を造らなくても穀物は貯蔵できます。だからこのトンコナンハウスは、現在のトラジャの人にとって無くなっても、とくに生活に支障はないはずです。しかし実はこのトンコナンハウス、私が初めてトラジャに足を踏み入れた20年前より増えているのです。

インドネシアの山間にある舟型の家。タナ・トラジャのトンコナンハウスとは?〈後編〉 インドネシアの山間にある舟型の家。タナ・トラジャのトンコナンハウスとは?〈後編〉

住む人がいなくても、トンコナンハウスが増える訳は?

人も住まない家ならただの物置ですよね。それなのにふつうの住宅よりも手間もお金みもかかるトンコナンハウスを作るのはなぜでしょうか。このトンコナンハウスは、いまではどちらかというと、その人や村の力を示すシンボルのようなものなのです。「あの村のあの一族の土地に、新しいトンコナンハウスがいくつもできた」というのは、そこに力とお金があるからという証明です。まあ、いまでは実用的というより、一種の“見栄”と行ってもいいでしょう(笑)数年前まではなかった村の広場に、8つもトンコナンハウスができていて驚いたことがあります。なかには安くすますために柱がコンクリートのものもありましたが…。

観光用のトンコナンハウスもある

このトンコナンハウスは、タナ・トラジャの地を行けばすぐに目に入ってくるほど、あちこちにあります。規模も造りも様々で、伝統的なものはすべて木造ですが、最近のものは屋根がトタンのものもありますし、前述のように一部コンクリートを使ったものもあります。ただしこれらの家は、基本的には“人の家”なので、見かけてもその敷地にずかずか入っていくことは慎みましょう。断れば見せてくれるとは思いますが。立派なものは、“観光地”として公開されている所もあります。

ツアーで立ち寄るトンコナンハウスの村

たいていのツアーで寄る、有名なトンコナンハウスの村は、「ケテケス」です。観光の中心の町ランテパオから南東へ車で10分ほどのところにある村です。遠くから見ると、まるで田園の中に船団が浮かぶように見えるトンコナンハウスは、見応えがありますよ。入場には「入村料(約200円)」を払って入りましょう。ランテパオから10kmほど北東にある「パラワ」村のトンコナンハウスも公開しています。時間があれば、両方行ってみるといいでしょう。