お葬式が見られるベストシーズンは?

インドネシアで、独特の伝統と生活様式を持っているトラジャ族。その人生最大のイベントともいえるお葬式の話の続きです。トラジャでお葬式が多く行われるのは、6月から9月ごろ。ちょうどこのころはインドネシアの帰省シーズン。トラジャの人たちの多くは、ふだんは故郷を離れて都会や別の島で働いているので、その人たちが帰って来るこのころが一番人が集まるからです。また、このお葬式をひと目見ようと、世界中から観光客が一番集まってくるのもこのシーズンです。季節もちょうど乾季なのでいいのでしょう。トラジャのお葬式はとてもお金がかかると前に書きましたが、それは何のためにかというと、生け贄に多くの動物を捧げるためです。

人生最大のイベントは“お葬式”? 大量の水牛が捧げられるトラジャ族の不思議な習慣 その2 人生最大のイベントは“お葬式”? 大量の水牛が捧げられるトラジャ族の不思議な習慣 その2

お葬式に捧げられる生け贄は水牛

葬式には数百人の人たちが集まります。その人たちの目の前で生け贄となる動物が屠殺され、その肉が料理されて配られるのです。生け贄の中で、もっとも価値の高い動物が水牛です。その水牛は、日本円にして一頭20万円ぐらいから一千万円近いものまで値段はさまざま。どんな水牛に高い価値が付くかというと、それは白と黒のまだら模様になっている牛です。ふつうの水牛は真っ黒で、これが一番安い。次にアルビノぽい白い牛。そして白と黒のまだら模様が絶妙のバランスで組み合わさった牛は、何とふつうでも数百万円するのです。「食べちゃう水牛なのに、なんでそんな値段がつくの?」。ふつう、そう疑問に思いますよね。それにはトラジャの人たちの宗教観が深く関係しているからです。

生け贄にすることに意味がある

家族や親族なら、亡くなった人が無事に天国に行けるように願いたいものですよね。生け贄は、死者が天国に無事に行けるようにと、お供させるために捧げているのです。だから殺されるのは水牛だけでなく、ブタや馬、ニワトリなども殺されます。ブタの値段を聞いたところ、一頭2万から20万円相当とかなり高い値段。そこで「肉屋から豚肉を買って来て、それをお客に振る舞ったらダメなの?」と聞いたところ、それは「死者のお供をさせる」ことができないので、意味がないことだというのです。水牛がたくさん殺されるのもそのためですが、ではなぜ“まだら牛”に高値が付くのでしょう。理由を聞くと、このまだら牛は、“その他”の水牛たちを率いて天国に向かうリーダー牛だと信じられているからです。〈その3につづく〉