岩に掘られた横穴がトラジャ族の墓

インドネシアのスラウェシ島の山間に住むトラジャ族は、キリスト教徒になったいまでも、昔から続く独特の習慣や伝統を守っています。今回は、いまではもう無くなってしまった、ある習慣についてお話ししてみましょう。トラジャの人々のお墓は、ふつうは大岩に横穴を空けて造られた岩窟墓になります。今でもこの習慣は守られており、トラジャのこの岩窟墓に行くと、最近亡くなった人の写真や死者に捧げられた花などが飾られています。しかしこの岩窟墓には葬られない、例外がかつてありました。それは乳幼児のうちに亡くなった小さな子供です。

木にある横穴は何のため? 知るとちょっと怖い、タナ・トラジャに伝わる乳幼児のお墓 木にある横穴は何のため? 知るとちょっと怖い、タナ・トラジャに伝わる乳幼児のお墓

小さな乳幼児は、木の幹に空けられた穴に

トラジャ観光の中心の町、ランテパオから南に20キロほど行った、タンパガロやサラブンという小さな村には、幹に空けられた横穴に木の枝や植物の繊維などでフタをした大木があります。かつてはトラジャ族の土地では、乳児は死んでも天国には行けず、また生まれ変わると信じられていました。そのため、亡くなった子供がいつもミルクを飲めようにと、白い樹液が多く出るこの木に葬られていたのです。この木の幹に空けられた乳児の墓は、現地では「リアン・ビア」と呼ばれています。

いつかはこの墓も見られなくなる

しかしこうした習慣は、トラジャの人々へのキリスト教の布教と共に消えていきました。乳幼児の死亡率が下がって来たことも関係あるのでしょう。このリアン・ビアは新しく造られなくなりましたが、上記の村へ行くと、いまもその木を目にすることができます。ただし木自体が古くなって枯れてしまったものもあり、かつてのこの風習の名残りも、いつかは見られなくなるかもしれません。

田園の中のウォーキング

これらのリアン・ビアを見に行く拠点となるのは、ランテパオの町から車で40分ほど南に下った町、マカレです。そこからだいたい6、7キロほど離れたところに点在している村々は、細い舗装道路でつながっていますが、車通りも少ないので、時間があれば徒歩で回ることをおすすめします。乗り合いのミニバンの「ベモ」もありますが、とても本数が少ないのです。外国人観光客には人気のウォーキングコースなので、片道だけ車やバイクタクシーを使ってもいいでしょう。観光開発が進んでいない村々なので標識が少ないですが、村人に聞けば方向を教えてくれるでしょう。途中の田園風景もなかなかきれいで、おすすめですよ。