夜明けと共に、遺跡の全体像が

5時半近くになってくると、徐々に東の空が明るくなり、朝もやに包まれたジャングルが眼下に見えてきます。世界に「色」がついてくるのです。それに合わせるかのように、周囲のジャングルから朝を告げる鳥の鳴き声が聞こえてきます。「音」が世界に現れます。そして、朝日を浴びたボロブドゥー遺跡がその全容を私たちに見せます。それはとても神秘的な体験で、現実世界へと戻って来て、ようやく今までと別な世界に行っていた(ような)ことに気づくのです。1000年前の人々もここで同じような体験をしたかもしれません。

ジャワに残る、東南アジア最大級の仏教遺跡ボロブドゥール、そのサンライズツアーに参加してみよう (後編) ジャワに残る、東南アジア最大級の仏教遺跡ボロブドゥール、そのサンライズツアーに参加してみよう (後編)

神秘的な体験から、現実世界へ

静寂の世界から現実に戻り、この覚醒していくような体験は、なかなか得られるものではありません。ふだんは人でいっぱいのボロブドゥールですが、開門前なので観光客もこのツアー参加者たちだけ。そしてその人数の少なさが、静寂を保てる理由でしょう。日が昇るとまもなく午前6時の開門時間になります。すると眼下に、数百人の観光客が遺跡を目指して歩いてくるのが見えてきます。私は思わず、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のシーンを思い出しました(笑)。急に心が、俗っぽくなったような気がします。一般の入場者たちが頂上に上がってくると、急に遺跡は話し声でにぎやかになり、さっきまでの神秘的な気分は急速に薄れて行ってしまいます。だからこそ通常の入場料よりは高くても、一足先に人気の少ない遺跡を見る特権は、代え難いものがあると思います。

まぎらわしい「サンライズツアー」に注意

さて、注意しなければならないのが、ジョグジャカルタの町中で募集している「ボロブドゥール・サンライズツアー」です。その多くは、6時の開門に合わせての出発なので、遺跡へ向かう途中で夜が明けてしまいます。また、朝4時出発のサンライズツアーは、遺跡の上ではなく、近くの丘の上から「日の出と遺跡を見る」というものです。これらのツアーは料金が1000円程度(入場料含まず)と安いので、料金でも判断できるかと思います。「サンライズ」と名前についていても、まったくの“別物”があることにご注意ください。