静寂の中、霧の砂漠を進む

拠点となる村チェモロ・ラワンを深夜に馬に乗って出発しました。静けさの中、私は馬に乗ったまま白い霧の海の中に沈んで行きました。そして5分ほどでクレーターの底に着き、砂の海を進み出しました。スタートが早かったため、周りには人の気配がありません。視界はわずか10mぐらいでしょうか。無音と何も見えない白い霧の中を進んで行きます。この世界で生きているのは、自分と馬と馬引きだけではないか、そんな錯覚さえ覚えました。ずいぶん長い間、その霧の海を進んだような気がしましたが、実際には30分程度でした。道は平らな砂漠から少しずつ岩場もある上りに変化し、やがて馬が立ち止まりました。

ジャワ島の聖なる山ブロモでご来光を見る その2 神秘的な絶景体験 ジャワ島の聖なる山ブロモでご来光を見る その2 神秘的な絶景体験

階段の先は、満天の星空と火を吹く火口

馬を下り、馬引きが指差すほうを見ると、そこには白い階段があります。ここで待っているから、これを上って行けというのです。霧で階段の上のほうは見えず、どのくらいあるのかもわかりません。一歩一歩、足を踏み外さないように上って行きます。突然、霧の海の上に出ました。急に視界が開け、満天の星空がくっきりと見えてきます。やがて頂上に出ました。下を見ると、今まで来た砂の砂漠が白い霧に覆われた湖のように見えます。上空のクリアな星空との対比がすばらしく、それはとても神秘的な光景でした。階段の頂上は火山の縁です。早かったせいか、まだ人は暗闇の中にまばらしかいません。火口の中をのぞくと、暗闇の中に赤い光が見えました。まだ活きている火山を実感しました。

火口の縁で“ご来光”を待つ

それから1時間ほど、寒さに震えながら日の出を待ちました。少しずつ東の空が明るくなり、世界が色づいてきます。クレーターの白い霧は徐々に薄くなり、霧の下をこちらに向かってくる馬や人の姿が透けて見えてくるほどになりました。私は火口の縁を歩いて、ご来光を見るのにいいポイントを探しましたが、次第にどこも人の数が増えてきました。しかし外国人は私だけのようです。「もう出るか」と思うぐらい明るくなっても、なかなか太陽は顔を出しません。待ちくたびれたころ、ようやく太陽が顔を出し、「ご来光」を見ることができました。奥には標高3676mというジャワの最高峰スメル(須弥)山が見えます。この最初のブロモ山のご来光体験は、自分の旅行歴の中でもかなり上位に来るすばらしい体験でした。(その3に続く)