梵魚寺は韓国の禅寺の総本山です

「梵魚寺(ポモサ/ぼんぎょじ)」という名前から、なんとなく海辺のお寺かと想像していたのに、タクシーはどんどん山道を登っていきます。冬の朝の澄んだ空気が、山に入っていっそう引き締まってきました。釜山最北部の金井区にある梵魚寺は、678年創建の古刹です。その後、廃寺、重なる焼失という憂き目を見ながらも、現在は韓国でも屈指の美しさと規模を誇る禅寺として、多くの参拝者を集めています。

空気がピリリと澄んだ冬の朝は、まだ人影もまばら 空気がピリリと澄んだ冬の朝は、まだ人影もまばら

バスを降りてからもだいぶ階段を上がりますが、駅からよりはマシ

最もポピュラーなアクセス方法は、地下鉄1号線「梵魚寺」駅からバスです。地下鉄の7番出口を出て、徒歩5分くらいのバス乗り場から90番のバスに乗り、「ポモサメピョソ」という停留所で降りてください。私は時間の都合で駅からタクシーを使いました。駅から歩くこともできますが、3キロ以上の登り坂なので、歩きたい方はプチ登山のつもりで行きましょう。私も駅から歩いて登ってきたという日本人旅行者の男性に会いましたが、「選択を誤りました。3キロならたいしたことないかなって。帰りはバスかタクシーに乗ろう……。」と、お疲れのご様子でしたよ。

「大雄殿」のある場所は視界が広々とひらけています 「大雄殿」のある場所は視界が広々とひらけています

古いようで新しい、新しいようで古い、不思議な魅力のお寺です

さて、梵魚寺はそんなアクセスの不便さも忘れさせてくれるほどの、美しい山寺です。それまでにも二度焼失しましたが、最後は2010年、放火によりほぼ全焼してしまいました。現在の建物はほとんどがその後の再建です。そのため、年月にさらされた味わいはさして深くありません。その代わり、「いかにも韓国のお寺らしい!」という美的感覚を堪能できます。山を登って、とうとう極楽浄土にまで来てしまったかと思えるほどの、ぎっしり塗り込んだ色鮮やかな丹青(韓国の伝統的な彩色)。そして、一歩一歩山道を登り、階段を登るという身体的な体験を通して、より天の世界に近づける気持ちにもなれるのです。

これはおそらく焼失を免れた古い時代の絵でしょう これはおそらく焼失を免れた古い時代の絵でしょう

「一柱門」とは門のスタイルの名称です

それでは、実際に私が訪れてみて注目した「見どころ」をご紹介しましょう! まず初めは「曹渓門」。この門をくぐることで俗世と離れるという、境界の意味合いがある門です。「一柱門(いっちゅうもん)」というスタイルで作られています。一柱門とは韓国の寺院特有の門で、柱が横一列に並ぶことが特徴です。これは、煩悩で乱れた心をここで整え、心を一つにしてその先の聖域に行くという意味だそうです。多くの一柱門の柱は大木でできていますが、ここでは珍しく石が使われており、安定感を感じさせます。後編では、さらなる見どころを紹介していきますよ! (後編に続く)

曹渓門(一柱門)までのアプローチ。奥に見えているのが門です 曹渓門(一柱門)までのアプローチ。奥に見えているのが門です