一柱門をくぐる直前だけに見える、天へ続く道筋

「山なのに“魚”。釜山、金井山の仏教寺院「梵魚寺」で私が選んだ見どころをご紹介します!」前編からの続きです。次の見どころポイントは、一柱門からの眺めです。先へと進みたい気持ちをこらえ、一柱門をくぐる前にちょっと立ち止まって、門の向こうをのぞいてみてください。階段の上に、次の門が控えているのが見えるでしょう。そしてその門の向こうには、また次の門が。さらにその向こうは階段で視界をふさがれています。このパースペクティブは、「この奥はどうなっているんだろう?」という素朴な好奇心をかきたてることでしょう。それと同時に、高みを目指すことで、「これから尊いものに一歩ずつ近づいていくのだ」という厳粛な気持ちも起こってくるのではないでしょうか。

門をくぐらずにのぞくのがポイント 門をくぐらずにのぞくのがポイント

なんだかユーモラスで怖くない四天王像にも注目

続いての見どころは、一柱門の次にある「天王(てんのう)門」です。この門の内側に、四天王の像があるのです。四天王像の造形が、日本のそれとはまるっきり違うことに驚くでしょう。韓国の仏像は時代が下るほどデザインがマンガ風になっていくようで、その意味では、放火事件後に新しく作られたこの像は最新型ということになります。実際にここも、2010年以前に置かれていた四天王像よりさらにコミカルな四天王になりました。ただ、やはり新しいため絢爛豪華な色彩美を持っています。宗教的な重々しさの代わりに、圧倒的な装飾の物量で迫ってくる、存在感のある四天王ですよ。

冠のお花モチーフの量がモノスゴイです 冠のお花モチーフの量がモノスゴイです

本堂にあたる「大雄殿」でつい見落としがちなもの、それは……

梵魚寺最後の見どころ、それは本尊が祀られている「大雄殿」の外にあります。大雄殿そのものも重要文化財で見る価値十分ですが、屋根の軒先の一番端っこに注目してください。小さな風鈴のようなものが見られます。ここに、「魚」の形の飾りが下がっているんです。最初に「魚の字がつくお寺なのに山の上に行くのか」と思ったのですが、こんなところにさりげなく魚のモチーフを持ってくるなんて、お茶目すぎます!

軒の端っこに下がった魚。見えますか? 軒の端っこに下がった魚。見えますか?

梵魚寺の由来を知って、またしみじみ

昔、金井山に井戸があり、その井戸の水は涸れることがなく黄金色に輝いていたそうです(金色の井戸=「金井」の由来)。あるとき天から五色の雲に乗って魚がやってきて、その井戸の水に入って遊んだ、という伝説から「梵魚寺」という名前がつきました。魚が雲に乗って遊びにくるなんて、ちょっとシュールな光景ですが、この山あいで暮らす人々にとって、その井戸の水はどれだけ大切なものだったでしょうか。ただの旅行者からすれば、この山の風景はすがすがしくて気持ちいいものです。しかし厳しい山の生活の中で、このお寺の辺りに自然と信仰心が生まれ育っていったのは当たり前のことかもしれません。

ここは「テンプルステイ」の施設 ここは「テンプルステイ」の施設

文化財の宝庫「梵魚寺」で、心洗われるひとときをどうぞ!

この他にも、梵魚寺には見どころがいっぱいです。焼失を免れた古い建築もわずかに残っていて、山寺にふさわしいひなびた風情が素敵です。また、お寺の宿泊体験「テンプルステイ」も行なっています(詳しくはホームページへ→http://www.beomeo.kr/eng_templestay/idt.php)。釜山へ来たらぜひ山へも足を延ばして、梵魚寺のよさを実感してください!

創建時から残っているという三層石塔は必見 創建時から残っているという三層石塔は必見