- 山崎裕子
- 韓国専門ライター&企画者。1996年に初めて訪れた韓国に魅せられて約11年。エネルギッシュでパワー溢れる韓国の魅力に夢中になり、ひたすら”韓国”をキーワードに駆け抜け、現在進行中。韓国に関する豊富な人脈と話題で、韓流関係、韓国映画、K-POP、伝統・文化、食、旅行関連、TV取材相談まで幅広い守備範囲を持ち、多くの実績も持つ。
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韓国伝統の楽器の音色の中で劇を演じます
ちょうど一年前の夏、韓国で社会的現象を起こすほど大ヒットした映画が上映されました。映画の名は「王の男」これは日本でも公開されたので映画のタイトルくらいは聞いたことがあると思います。「王の男」とは男だけの旅芸人・男寺党(ナムサダン)と朝鮮王朝10代目の王の燕山君(ヨンサングン)との葛藤を描いた映画として1300万人を動員しました。
ユニークな動作には社会風刺がたっぷり
この映画、朝鮮王朝時代の揺らいだ時代に観客からもらう祝儀で生活していた芸人が、庶民を楽しませようと、未知なる王宮の世界をタルチュムと呼ばれる仮面劇で皮肉る話。命を賭けて、王の前で芸を見せたら、その王も芸道にのめり込んでしまうのですが、これまで映画としてあまり扱われなかった伝統芸能を現代的に脚色したことも、ヒットの要因になりました。
上層階級者への不満も仮面をかぶれば……
映画の中で男寺党たちが見せる韓国仮面劇は、正月など季節の区切り目に演じられ、厄を払い、地域の共同体を活気づける力とされていました。劇の中では、男女の過激な場面があったり、支配層が下積みの階層の者にひどくやりこめられたりする様子を皮肉に演じたりと、社会を風刺した内容がユニークに繰り広げられ庶民の気持ちを仮面で代弁し、上層階級に不満を言えない人たちストレスのはけ口でもありました。
艶っぽい場面も仮面劇の楽しみ?です
韓国の仮面劇は個々のルールを維持しながら、生きた伝統文化のひとつとして受け継がれています。韓国人でも仮面劇を見る機会はそうないと言われていますが、ソウルから約4時間の場所にある朝鮮王朝の貴族の家と農家が保存されている河回村(ハフェマウル)では、村の豊作を祈る「河回別神グッタルノリ」という仮面劇があり重要無形文化財69号に指定されています。また、毎年10月には「国際仮面舞祝祭」も行われ、毎年、多くの観光客で賑わっています。
韓国の仮面劇は厄払いの意味もあると言われているのでチャンスがあれば見てほしい生きた伝統文化です。ソウルから近いところではソウル市内から約1時間、水原にある韓国民俗村で不定期ながら上演がありますが、仮面劇が上演されないときにも、チュルタギと言われる伝統的な綱渡りなどは随時披露されて本物の男寺党の妙技を見ることができます。公演時間や内容は時期により異なりますので入場券売り場のパンフレットを参考にしてください。
韓国人の恨も劇の中でリアルに演じます
■河回村
住所:慶尚北道安東市豊川面河回里
ソウル市内からバスで約4時間
■韓国民俗村
住所:京畿道(キョンギド)竜仁市(ヨンインシ)器興区(キフング)甫羅洞(ポラドン)
電話番号:031-286-2116
開園時間:09:00〜17:00
ソウル市内から約90分
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/09/07)
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