- 山崎裕子
- 韓国専門ライター&企画者。1996年に初めて訪れた韓国に魅せられて約11年。エネルギッシュでパワー溢れる韓国の魅力に夢中になり、ひたすら”韓国”をキーワードに駆け抜け、現在進行中。韓国に関する豊富な人脈と話題で、韓流関係、韓国映画、K-POP、伝統・文化、食、旅行関連、TV取材相談まで幅広い守備範囲を持ち、多くの実績も持つ。
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醤油ダレに漬けられた「カンジャンケジャン」。甘い身を頬張った瞬間、舌が踊り出すのが分かるはずです。韓国人から見ても贅沢な食べ物で、給料日に両親にプレゼントする家庭も多いようです
韓国では渡りガニをまるごと辛い唐辛子味噌(コチュジャン)で漬け込む「ヤムニョムケジャン」と、野菜などをダシにして醤油に漬け込んだ「カンジャンケジャン」があります。赤くて辛いヤムニョムケジャンは食堂で自動的に出てくる小さな小鉢のおかずでもよく見かけますが、ここはぜひ、ほのかな琥珀色に染まった「カンジャンケジャン」も食べてみてください。一度でも食べたことがある人ならカンジャンケジャンと聞いただけで、生つばが出てきませんか?そんなカンジャンケジャンのとろけるような甘い身を思いっきりしゃぶり倒しに行きましょう。
ひとりでも食べたいときは「定食」スタイルにするといいでしょう。ご飯やサービスで出される小皿のおかず(おかわり自由)が付いて1万8000ウォンほどです
ソウルの江南区にある新沙駅(シンサ駅)周辺には「カンジャンケジャン通り」と呼ばれる通りがあり、カニとアグチム(あんこうの辛蒸し)で杯を交わす地元のサラリーマンやグルメな人々で賑わっています。カンジャンケジャンは主に北朝鮮との国境に近い西海の海で育った渡りガニが使用され、いい塩梅の醤油ベースのタレに浸かったカニの身のトロッと甘い味は食べた者を必ず幸せな気分にしてくれるでしょう。中型のカニ2匹で5万ウォン前後、定食の形にしてもカニが1匹付いて1万8000ウォン〜とちょっと贅沢な食事になりますが、これを食べずして日本には帰れません。
手で押して吸いながら食べてください。きっと周りの人々もそうやってますのでお行儀は気にしないでくださいね
カンジャンケジャンの身は実にトロットロという表現がぴったりです。醤油に漬けられて、いい具合に柔らかくなった身を手で押し出し、チューチューと吸いながら食べるのがおいしい食べ方です。そして、甲羅の中に入っているカニ味噌は口に運んだ瞬間、温泉たまごのようなまろやかな食感と日本で食べる渡りガニでは味わえない、濃厚なカニの味が口の中でとろけるのが実感できます。これはカニ味噌が好きな方にはきっと至福の瞬間でしょう。ある程度、甲羅の身をさらっても、これで終わりにしてはいけません。
醤油ダレと味噌に絡んだご飯は夢中で食べたくなるうまさです。コレだけでも満足のため息ものです。更にこの中に焼酎を入れて飲む通もいます
次は甲羅の中にご飯を詰めてください。カニの甲羅を皿にして、詰めたご飯をビビン(混ぜる)するとカニの醤油ご飯の完成です。カニ甲羅に残った醤油ダレと味噌が白いご飯を極上の混ぜご飯に変身させるのです。醤油ダレには、店が秘伝とする薬味を使い、その中でカニを漬け込むわけですから、タレに絡まったご飯がまずいわけありません。カンジャンゲジャンは別名「ご飯どろぼう」ともいわれていて、その名のとおり何杯でもご飯が欲しくなってしまいます。
デパートの食品売り場でも販売されているので、おみやげにいかがですか?機内持ち込みはできませんが、預け荷物としてタッパーなどで汁漏れを工夫すれば、家族と食卓でカンジャンケジャンを味わうことができます
このカンジャンケジャンですが、有名なのは先に紹介した江南区にある新沙洞というオフィス街のある地域が有名ですが、明洞や南大門市場でも海産物を扱っている店でも食べることができます。人が大勢入っていて賑わっている店はだいたいはずれがありませんので、何はともあれ、食べてみてください。芳醇な味とトロットした極上の味は食べてみないとわかりません。韓国のカンジャンケジャンは通常5月〜6月が旬とされていますが、冬のこれからの時期もおいしいとされていますので是非、自分の舌で確かめてください。
【関連情報】
■「新沙洞カンジャンケジャン通り」
地下鉄3号線「新沙駅」4番出口を出てすぐの角を右に曲がり少し進むとカニの看板を掲げた店がたくさん出てきます。ポイントはお客がたくさん入っている店を選ぶことです。
■写真のカンジャンケジャン
南大門市場入口の「ナンド パッドゥウ」02-773-5515。カンジャンケジャン定食1人前1万8000ウォン。地下鉄4号線会賢(フェヒョン)駅6番出口徒歩1分。入口が駐車場の奥になりますが、カニの看板を目指してください。
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