見学するうちに、2点のことに気がつきました

「景福宮 その1」からの続きです。景福宮の主だった建築を見て回るうちに、気がついたことが2点ありました。ひとつは、「日本の伝統的な建築に比べ、よりどっしりとした重々しさ」を感じたこと。もうひとつは、「グラフィカルなデザイン性と色彩感覚」です。ひとつめの「重々しさ」については、どうやら「錯視」を利用した韓国の建築文化に答えがあるようです。

色鮮やかな衣装の「光化門守衛交代儀式」 色鮮やかな衣装の「光化門守衛交代儀式」

視覚効果を生かした建築の工法

世界の建築は、より美しく見えるよう、人間の目の性質を利用して様々な工夫がなされています。韓国の建築文化では、建物をより安定的に、どっしりと見せることが重視されました。たとえば、宮殿の柱の中ほどをわずかにふくらませて、視覚的に安定感を持たせる「エンタシス」という形状。古代ギリシャから日本の法隆寺に到るまで、この柱の様式が取り入れられていますが、韓国ではこれを積極的に導入しています。また、屋根の棟と軒を反り上げて、屋根のつくりをより大きく伸びやかに見せる工夫がされています。他にも多くの工夫により、視覚的に均整のとれた優美さを作り上げているのです。

屋根の棟と軒が反り返る「勤政殿」 屋根の棟と軒が反り返る「勤政殿」

日本の建築と、似ているようでやっぱり違う!

国宝の「勤政殿」の天井を見上げて、日本の建築にはない華麗な色使いに驚きました。韓国伝統のデザイン「丹青(たんせい)文様」で用いられる色彩です。使われているのはパステルグリーン、ややくすんだパステルピンク、パステルブルー、それらを引き締める渋い赤といった色です。新しい建築ですから色鮮やかなのは当たり前ですが、日本の伝統的な建築を見慣れていると、なんとも物珍しく感じられます。というのも、日本の伝統建築は木をとにかく細かく彫りあげて仕上げていくのに、韓国ではあまり木の彫り込みに執着せず、代わりに丹青文様で美しく彩ることに注力しているように見えるからです。

これぞ韓国の伝統建築様式の粋! これぞ韓国の伝統建築様式の粋!

韓国人はどのような「目」を持っていたのでしょう……?

このふたつの特徴を意識しつつ、あらためて景福宮の広大な敷地を歩いてみます。韓国と日本との共通点と相違点はおもしろいものです。東アジアの建築文化の奥深さに、感動しました。それにしても、日本人と韓国人の「目」、空間のとらえ方には、どんな違いがあったのか……? 韓国の伝統建築が重視してきたポイントを比べるヒントを、景福宮の敷地内にある「国立古宮博物館」で見つけましたよ! 次回はそれをご紹介します。(その3に続く)

チマチョゴリと景福宮はベストマッチです チマチョゴリと景福宮はベストマッチです