屋根の上に並んでいる、あの像は一体……?

「『かわいい!』ソウルの伝統建築には動物モチーフの像がいっぱいです(その2)」からの続きです。さて、神獣ウォッチャーのあなた(?)、視線を建物の屋根に転じてみてください。宮殿などの伝統建築の屋根の上、四方の隅棟(すみむね。屋根と屋根のつなぎ目に当たる山折部分)に、点々と連なっているものが見えるでしょう。遠目からは馬具の「あぶみ」のようにも見えるそれらのものは、「雑像(チャプサン)」と呼ばれる、一種の土偶なのです。

屋根の上は遠いので望遠レンズが必要ですね…… 屋根の上は遠いので望遠レンズが必要ですね……

日本では見られない!?建築の様式美

景福宮を始めとする宮殿は、ただでさえ大きいのに、さらに屋根瓦の上とあっては、双眼鏡でも使わなければ何が乗っているのかはっきりわかりませんよね。けれども、雑像が点々と並んでいる様子は、日本の伝統建築では見られない様式で、異国情緒を強く感じます。あの像は、実は『西遊記』の登場人物が並んでいるそうですよ! 並ぶ順番も決まっています。先頭は三蔵法師。2番目が孫悟空、3番目が猪八戒、4番目が沙悟浄、以下、三蔵法師に付き従った一行が行列しているのです。

三蔵法師は強そうで、お供なしでも天竺にたどり着けそうです 三蔵法師は強そうで、お供なしでも天竺にたどり着けそうです

遠くからでもかわいく見えるキャラクター、ぜひ近くで見たい……

雑像の数は、建物の格が高いほど増えるそうです。雑像の役割も、神獣と同じく魔除けの意味を持っています。雑像は、正確には神獣とは呼べないかもしれません。しかし、中国からの仏教文化の伝来とともに、西遊記の登場人物たちがこのように目立つ場所に配置された、ということは、それだけ韓国の人々にも人気のあるキャラクターだったのではないでしょうか? それにしても、屋根の上を見上げるだけではなく、雑像の姿を近くで見てみたいものですよね……。

帽子をかぶった孫悟空は、なんだかひ弱そう 帽子をかぶった孫悟空は、なんだかひ弱そう

「えーと、これが孫悟空?」とまどいながらも感激

そう思ったあなたは、景福宮の敷地内にある「国立古宮博物館」へどうぞ。ここの第2室「朝鮮王朝の宮殿」というコーナーに、なんと三蔵法師を始めとする雑像4体が展示されているんですよ。こんなに間近に見られて、私も感激しました。よく見るとだいぶ素朴で、これのどこが猪八戒や沙悟浄なのか、と理解に苦しみますが、それでも愛らしさにときめきます。

行儀よく座っていますが、どこが猪八戒なのか? 行儀よく座っていますが、どこが猪八戒なのか?

日本と似ているけれど少しちがう、動物モチーフの造形美

ヘチを始めとして、いろいろな神獣や雑像をご紹介しました。私のように、ソウルをちょっと歩いただけでも、これだけたくさんの動物のキャラクターを探し出せます。どれも取り立てて芸術性が高いというものではないのですが、それだけに、当時の人々の素朴な思いが込められているようにも見えます。理屈抜きで、動物モチーフってかわいいですよね。韓国の伝統建築や博物館、または街角で、あなたも神獣や雑像を探してみてください。きっと心奪われますよ。

国立古宮博物館には、かわいい動物の像がいろいろあります 国立古宮博物館には、かわいい動物の像がいろいろあります