四季を通じて地元で愛される川

ソウルを代表する川といえば、もちろん「漢江(ハンガン)」。ソウル中心部を東西に横切って流れる、悠々たる川です。しかし、ソウル中心部で漢江の北岸にあたる地域を流れ、地元の人たちに愛されている川は? それなら「清渓川(チョンゲチョン)」で決まりでしょう。「清らかな渓流」という美しい名前を持つこの川は、激動の歴史を経て、現在の姿を見せているんですよ。「たかが川」といわず、清渓川の歴史をふりかえりながら散歩してみませんか。

清渓広場はライトや噴水があります 清渓広場はライトや噴水があります

下水道のように使われてきた、清渓川の悲しい過去

清渓川は、全長6kmほどの小さな川です。14世紀の李氏朝鮮初期からソウルの中心を流れていたため、生活排水が多量に流れ込んでいました。1960年代の経済成長期には水質汚染が深刻になり、悪臭や洪水などで住民は苦しむことに。このため、1978年には川が暗渠(あんきょ。地中に川を埋設すること)化されました。市庁、光化門エリアから東大門までを流れていた清渓川は、ついに姿を消したのです。

世界からも注目された、世紀の大工事へ

暗渠化された清渓川の上には高架道路が建設され、産業発展の一翼を担ってきました。しかし今度は、高架道路に集中した車の排気ガス問題が深刻化。その後は老朽化が進んで、安全への不安が生じました。市民からは、高架道路の撤去と清渓川の復元への要望が高まってきたのです。そして2005年、高架道路はなくなり、清渓川は人工河川となってよみがえりました。高架道路の撤去と河川の復元という大工事は、世界的にもきわめてめずらしい工事なんですよ。清渓川の水は、地下鉄駅舎から出る地下水を再生利用しています。現在のきれいな清渓川は、親水公園としての役割もあるんですよ。

案内板にはハングルの他、英語表記も 案内板にはハングルの他、英語表記も

子供が水遊びをする光景も

そんな歴史を感じつつ、川べりを散歩してみましょう。まずは川の始まる地点、清渓広場から! 一日あたり約5.6トンの水がここから放出されます。清渓川の復元事業について丁寧に解説したプレートがあります。足を止めて一読してみると、感動的ですよ。飛び石があったり、オブジェがあったり、のんびり散歩していると次々と楽しい風景が現れてきます。夜にはライトアップされる地点もいくつか設けてあり、デートにぴったりですね。

ビルの谷間に水のある風景を見ると、ほっとしますね ビルの谷間に水のある風景を見ると、ほっとしますね

川の始点から終点まで、歩いてみる?

清渓川は、最後に中浪川と合流したあと、さらに漢江に流れ込んで終わります。人工河川という形で復活した都心の清流。垢抜けた雰囲気は、やっぱり大都会ソウルにふさわしい川だと思います。数々の韓国映画やドラマのロケ地となっていることにも、うなずけますね。漢江と清渓川のたたずまいは、私にはなんとなく、京都の「鴨川」と「高瀬川」に似ているなと思いました。水辺はいつ見てもいいものです。あなたのソウル旅の風景に、清渓川のある風景を加えてください。