- 神谷
- 東京都在住。漫然とさすらっていた学生時代の旅から、テーマのある旅へとスタイルが移りました。現在は「その国と日本とのつながり」を頭に置いて旅をしています。地を這う旅からリゾート、自然観察、文学、アート、建築を追う旅までなんでもテーマにして書きます。旅と同じくらい文章を書くのが大好き。お楽しみに!
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美しい西洋建築が新鮮に映ります
「ソウルの王宮『徳寿宮』(その1)」からの続きです。さて、イギリス式庭園の奥には、白亜の堂々たる西洋建築が! もはやここまでくると、「ソウルの王宮を見にきた」という目的を忘れそう……。これはその名もずばり「石造殿(ソッチョジョン)」。こちらもイギリスの指導で1910年に建てられた宮殿です。朝鮮王朝末期には、王室は弱体化し、韓国伝統建築ではなく西洋建築を受け入れるしかなかったのかもしれません。しかしそんな王朝のつらい歴史とは別に、新古典様式のこの建物は目にまぶしい美しさです。
これが李王家の紋章です
すっかりヨーロッパ気分で石造殿の正面玄関を見上げると、そこにはしっかりと李王家の紋章「李花紋(スモモの花)」が! 隅々まで完璧な西洋建築なのに、そこだけが、ここは朝鮮王朝最後の宮殿だと主張しているようでした。李家紋は建物の中ではいくつも見ることができますが、外ではこの箇所だけです。この建物は、現在は「石造殿 大韓帝国歴史館」という博物館となっています。こちらは東館であり、隣接して西館(別館)もあります。西館は「国立現代美術館 徳寿宮館」となっています。
ミニチュアは想像力をかきたてます
歴史館は、見学時間が決まっているので注意してください。基本的に事前申し込みが必要ですが、外国人は予約なしでも定員に満たなければ自由に入場できます(1回あたり先着5名)。外から見ているだけでも素敵ですが、ぜひ、建物の中に入って歩いてみてください。ロココスタイルの内装にも目を見張りますし、展示品の充実ぶりに驚くうちにいつの間にか朝鮮近代史を知ることができます。個人的には、「高宗の近代改革紹介コーナー」「大韓帝国の新文物コーナー」がよかったですね。度量衡の統一の展示や、外科手術、鉄道駅の様子などを表現したミニチュアが楽しいです。
中和殿の前には神獣の「ヘチ」がいっぱい
徳寿宮の魅力は、そのコンパクトさと多様さに尽きると思います。他の王宮は広々しているのはいいのですが、似たような韓国建築が次々と現れるうち、だんだんと飽きてしまいがち……(スミマセン)。その点、徳寿宮は本来の30%の敷地までしか復元されていないため、短時間で回れます。また、西洋建築あり、無彩色の建物ありと、バラエティーに富んでいて、モチベーションが落ちません! (私のような)飽きっぽいタイプにも最適の王宮でしょう。李氏朝鮮王朝の興亡とともに、徳寿宮が歩んできた数奇な運命を思いつつ、楽しい観光をしてくださいね!
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