美しい仏教の都ルアンブラパン

東南アジアに詳しいベテラン旅行者の多くが勧めるのがラオスです。あの旅好きの人気作家村上春樹さんも『ラオスにいったい何があるというのか?』(文芸春秋)という本を出されています。もしそう問われたなら、多くのベテランはこう答えるでしょう。「ラオスにはとくに何もありません。だからこそいいんじゃないですか」と。そう、気張ってどこかに観光に行くということなく、そこらへんをぶらぶら歩き、あまりに暑いので、立ち寄った仏教寺院の日陰でグターッとします。夕方、メコン川沿いに出ると風が涼やかで、川の上に浮かぶレストランで、ビールを飲みつつ、夕暮れの美しさにうっとりと酔いしれるのです。早朝、4時頃には、町をオレンジ色の袈裟をまとったお坊様たちが托鉢で練り歩き、女性たちがお辞儀してお供え物をする。見ているだけで心が安まります。世界遺産の町ルアンブラパンは、そんな町です。

ルアンブラパンのスピードボート ルアンブラパンのスピードボート

ルアンブラパンからさらに北を目指すには?

ルアンブラパンは、昔から織物の産地として名高く、もしアンティークの生地でも見つけたら、相当高額になるほど市場で評価されています。そして現代の織物でも質がいいのは変わりません。布好きの人にとっては垂涎の町なのです。さて、このルアンブラパンからタイのチェンコンを目指す人も少なくありません。ラオスは内陸国ですが、隣国タイとの国境になるメコン川沿いに、多くの町があります。対岸にあるタイの町とつながることで、成り立っているのです。しかしルアンブラパンからは、さらに上流のフエサイまで行く必要があります。この距離400キロ超。バスで行けば山岳のクネクネ道を15時間もかかってしまいます。そこで地元の人も多くは、船を利用しています。船は二種類、スローボートとスピードボートが出ています。

スピードボートは、まるでレーサー気分

スローボートだと1泊2日で26時間程度かかります(途中のバークペンでホテル泊、乗り換え)。一方、その面白さから、外国人旅行者に人気なのが、スピードボートです。これならわずか6時間の旅です(結構長い気もしますが、ラオスの気分では、不思議と速い気がします)。細長いボートは縦1列で8人乗りです。ライフジャケットとフルフェイスのヘルメットをかぶります。最後尾のドライバーが、長い棒の先に着いたスクリューを川に沈めます。浅瀬もあるので、スクリューの位置をコントロールできるようになっているのです。しぶきをあげてボートは走ります。時速は80キロだとか。まるで跳ぶようで、乗る方はレーサー気分です。3時間でいったん休憩後、また3時間。フエサイではヘトヘトになり出国をし、対岸のチェンコンまで渡し船で、2、3分。こうして多くの旅行者が、タイとラオスを行き来しているのです。