憧れの飴菓子を求めてマカオへ

「龍鬚糖(ロンシュータン/ロンソートン)」をご存じですか?中華圏を旅するのが好きな人にはポピュラーな名前ですね。その名のとおり、龍のひげのような(龍を見たことがありませんが……)細い糸状の飴菓子です。水飴を極細に伸ばし、ナッツの砕いたものを中に入れてふわっと丸めたもので、中国の伝統菓子であり、香港や台湾、また「クルタレ」という別名で韓国にも広がっています。香港の空港にもお土産ショップが入っていて、おいしいけれど非常に高いという評判です。「ぜひ食べてみたい、でも安いほうがいいな」と考えた私は、目の前で実演販売をしてくれる名物屋台を探して、マカオの市場へ行ってみました。

甘い!美しい!最高の路上パフォーマンス!マカオの飴売りおじさん 甘い!美しい!最高の路上パフォーマンス!マカオの飴売りおじさん

市場の路上を探してみると……

マカオ半島部の下町にある歴史ある市場「紅街市(ホンガイシー)」。市場といっても露店ではなく、アールデコ調の大きな建物をこう呼びます。生鮮食料品を買い求める地元の人でにぎわっています。その市場の「建物付近のどこかの路上に毎日出没する」という噂だけを頼りにウロウロ歩いてみると、意外とたやすく、めざす屋台「祐記龍鬚糖」は見つかりました。店のおじさんは、何もせずぼさっと座っていました。私の「あっ!いた!」という顔を見ると、にやりと笑って立ち上がりました。私が明らかに飴作りのパフォーマンスを見たがっていると見抜き、我が意を得たりという表情で、少し温めてある水飴を取り出して、まず私に触らせました。私が「おお、温かい」と言うと、にんまりして飴作りを始めてくれました。

パフォーマンスも旅の一コマ

手元は少しも急いた様子がないのに、どんどん水飴の塊がほぐされて糸のようになっていきます。他の観光客たちも「おおやってるやってる」と足を止めていきます。YouTubeにもこのおじさんの動画がありましたが、実演は、映像よりもずっと感動的でした。感動的というのも大げさかもしれないけれど、なんの変哲もない水飴がやがて白く輝いていく変化とその美しさにうっとりするのです。しかもこのおじさんが、ほぼ一言もしゃべらないわりには客慣れしていて、ポイントごとにいちいちにやりと笑って「どうだ」と得意げな様子をするのも、そのたびに見物客が外国人である私の反応をうかがうところも愉快です。「これぞ旅先」というひとときでした。

できたての飴は格別です

お土産用に箱詰めになっているものを一箱買いましたが、どうしてもできたても食べたくて、一つだけ別に売ってもらいました。できたての飴は最高でした。素朴ながら繊細な歯触り。サクッと噛んだときの快感を、今も忘れられません。私はたまたまマカオで出会いましたが、台湾などでもこのようなパフォーマンスは見られるそうです。チャンスがあれば、お土産とは別に、是非できたてを食べてみましょう!