東洋と西洋が出会ったマカオの料理

「アフリカン・チキン」、「カーリーハイ」(カニのカレー風味炒め)など、おいしいものが多いマカオ。マカオ料理は、マカオの無形文化遺産にも指定されていて、この地の文化を語る上で欠かせない要素のひとつです。マカオは「食在広東」(食は広東にあり)といわれる食の都・広州や香港にも近く、海産物などの食材と、高い調理技術にも恵まれた環境にあります。加えて15世紀以降マカオに港市を築いたポルトガルの料理や、貿易によってつながる東南アジアの国々の料理の影響を受け、いろいろな国のエッセンスが入り混じった独特な料理が生まれました。

世界のデザート〜ポルトガル起源のマカオ名物「エッグ・タルト」 世界のデザート〜ポルトガル起源のマカオ名物「エッグ・タルト」

起源はポルトガルの焼き菓子

「蛋撻(タンダッ)」とも呼ばれる「エッグ・タルト」は、そんなマカオを代表するお菓子です。さくさくしたパイ地に甘いカスタードクリームがのっていて、日本の人にも親しみやすい味です。今では東南アジアでもよく見かける点心のひとつですが、もとは「パステル・デ・ナタ」というポルトガルの焼き菓子で、200年以上前にリスボンのジェロニモス修道院の修道女たちが考案したものといわれています。しかし現在のマカオのエッグ・タルトは、ポルトガルのものとは違うようです。

マカオで加わったイギリス風のアレンジ

19世紀からポルトガルの植民地だったマカオには、多くのポルトガル人が居住していました。薬学の知識を生かして研究所で働くためにマカオに来ていたイギリス人のアンドリュー・ストウは、起業の傍ら、ハイアット・リージェンシー・ホテルで働き始めます。ホテルには当時、マカオでも指折りのポルトガル料理レストランがあり、ストウ氏はそこでパステル・デ・ナタのレシピを学びます。その後も独自の工夫を重ね、イギリスのカスタード・タルトの要素を加えたオリジナルのエッグ・タルトを1989年に売り出します。

マカオ名物エッグ・タルトの誕生

「ポルトガル風エッグ・タルト」として売り出されたストウ氏エッグ・タルトはマカオで人気を呼び、その後いろいろなお店が工夫を凝らしたエッグ・タルトを出して、ブームになりました。今ではマカオのお菓子といえば、必ずエッグ・タルトが挙げられます。ストウ氏が始めた「ロード・ストウズ・ベーカリー」はその後、マカオ、香港だけでなくフィリピンにも進出していて、日本では「アンドリューのエッグタルト」という名前で静岡県磐田、京都、大阪、神戸、姫路、熊本などに支店があります。

マカオのエッグ・タルト発祥のお店

「ロード・ストウズ・ベーカリー」は、マカオでは「ザ・ヴェネティアン・マカオ・リゾートホテル」ほかに支店があります。本店は、ストウ氏が最初に出したころのたたずまいのまま、今でもコロアネ島のコロアネ・ヴィレッジにあり、聖フランシスコ・ザビエル教会の近くで朝7時から夜10時まで営業していて、地元のお客でにぎわっています。
澳門安徳魯餅店(Lord Stow's Bakery) 住所:澳門路環市中心撻沙街1號地下(1 Rua da Tassara, Coloane Island, Macau) 公式ウェブサイト http://www.lordstow.com/