ワインメーカーの和訳は「逃げた女」

シチリア島旅行から帰ってきた義母が、ワインをお土産にくれました。「ドンナフガータ」というシチリアワインの老舗メーカーのワインで、おいしかったのはいうまでもありませんが、おもしろかったのはその名称でした。「“ドンナフガータ”ってイタリア語で“逃げた女”という意味なんだって。(逃げた女は)味がいいって意味かしらね!」……その時は義母と大笑いして終わりましたが、あとで由来を調べてみると、“逃げた女”とはブルボン朝のフェルナンデス4世の妃マリア・カロリーナのことを指すそうです。ナポレオン軍の襲来から逃れてナポリからシチリアのこのワイナリーのある地へと落ち延びてきたことから社名がつけられました。

旅先の地名や言葉の語源を知れば、親しみが倍増します 旅先の地名や言葉の語源を知れば、親しみが倍増します

ボートクルーズ乗り場にあった看板の意味は……

海外旅行に行くと、知らずのうちに外国の地名や言葉に触れる機会が多くなります。「ドンナフガータ」の例のように、何も知らずに連想や当てずっぽうで記憶するのも一興ですが、やはり正しい語源や意味を知っていれば、旅先への愛着も深まるものです。たとえば、私は昨年ボルネオ島に行き、ボートクルーズと熱帯雨林散策をしました。クルーズの場所はガラマ川という川でした。ボート乗り場にカニの絵の看板が立っています。気にも留めず通り過ぎようとしたところ、ガイドさんが「ガラマとは“カニ”という意味なんですよ」と教えてくれたのです。そう聞いて、カニが獲れるからかと早合点しましたが、「いいえ、昔、川沿いの畑に蒔いておいた野菜の種を、カニがみんな食べてしまったことからなんです」。

ちょっと脱力するほど生活密着型の命名

また、熱帯雨林散策のときはキナバル山の麓のキナバル公園へ行きました。キナバル山は標高4095mのマレーシア最高峰であり、そそり立つ山頂の勇姿は遠くからでもよく見えます。その姿から、私は勝手に「キナバルってきっと崇高な名前なんだろうな。“輝く頂”とか?“神の宿る場所”とか?」などと予想していました。ところが、ガイドさんに聞くと「ナスの山という意味ですよ。多分、ナスが採れたからでしょうねえ」。カニといい、ナスといい、名付け方はひたすら生活密着型でシンプルそのものだったのです。

語源を知ると楽しさアップ!

ガイドさんのおかげでこのふたつの地名を知ったことで、私にとってボルネオ島はぐっと身近なものになりました。次に行く場所の地名や言葉の語源を、ちょっと調べてみませんか。きっと、「なんてロマンチック!」と感動したり、「思い込みがまちがってた!」と目からウロコだったり、新しい体験となるはずですよ。