層が美しいもち菓子「クエ・ラピス」

前編からのつづきです。「クエ・ラピス」はマレー風ひしもち、とでもいいましょうか。もち米にココナッツミルクや砂糖を加えて作る、ニョニャ菓子の定番です。「ラピス」は「層」という意味で、ピンクや黄、緑、白の何色かを組み合わせて9層重ねるのが正式だそうです。型に一段分流し込んで、固まるのを待ってまた次の段を流し込む、という、たいへん手間をかけてつくるお菓子です。もっちりした食感ですが、くどい甘さではないので、小豆をのせたり、ホイップクリームをのせてもおいしい、と地元の雑誌に紹介されていました。

プラナカンが受け継いできた、おいしい伝統のお菓子「ニョニャ・クエ」(後篇) プラナカンが受け継いできた、おいしい伝統のお菓子「ニョニャ・クエ」(後篇)

ココナッツだんご「オンデ・オンデ」 

これは白いココナッツフレークがトッピングされた、緑色の丸いおだんごです。中にはマラッカ特産の黒砂糖で作った黒糖蜜とココナッツが入っていて、しゃりしゃりした食感です。おだんごは、パンダンというハーブで緑に着色されていてほのかな香味があり、南国風味たっぷりのお菓子です。パンダンは日本語で「ニオイタコノキ」。一見菖蒲のような形の植物で、長い葉を煮出すとよい香りの甘味が取れるので、マレーシアの料理やお菓子作りには欠かせないといいます。パンダンの葉を部屋に吊るしておくと、虫やヤモリ除けにも役立ち、また天然の芳香剤にもなるそうです。オンデ・オンデは、糖蜜がおだんごにしみ出してくるので、フレッシュなうちが食べごろです。

日本では珍しい青いお菓子「プルッ・タイタイ」

日本にはあまり青いお菓子がないので、鮮やかなブルーにドキリとしますが、伝統的には着色料ではなく花の天然色素を使います。日本のツユクサのような色をした、「ブンガ・トゥラン」(英語ではBlue Pea Flower)というマメ科の青い花をつぶして色を出します。「目を閉じて食べたらお赤飯」と紹介している雑誌があってなるほどと思ったのですが、ほんのり甘く味をつけた、もち米のお菓子です。

「ビンカ・ウビ」はタピオカのケーキ

もちろん人によって好き好きはあるでしょうが、もしかしたら日本の店で出しても人気があるのでは、と思うのはこのビンカ・ウビ。マレー風ういろう、と人には説明していますが、タピオカの粉にココナッツ・クリームと砂糖を加えて焼いた、もちもちとした歯ごたえのあるお菓子です。きれいなやまぶき色は、タピオカの根の成分から出るそうです。ココナッツ・ベースですが、くせのある甘さではないので、お茶菓子にもなるのではないかと思います。

ニョニャ・クエを買うには

ニョニャ・クエには、ここで紹介したほかにもいろいろな種類があります。地元の市場やショッピングモールにもお菓子屋さんがありますし、ぐっと庶民的なところなら市場でもいいでしょう。ほかのお客さんが好みのお菓子を選んで買う様子を見て参考にするのもいいでしょうし、混んでいないときなら、お店の人にどんなお菓子か教えてもらいながら買い物もできそうです。飲食店なら、おしゃれなレストランよりは、気軽な軽食がとれるようなお店の方が置いてありそうです。首都クアラルンプールなどなら、「Nyona Colors (ニョニャ・カラーズ)」というニョニャ・クエの専門店もあります。食べものは、手軽な異文化体験でその国の文化を肌で感じるきっかけ。マレーシア旅行の際に食べてみるのもよいと思います。