乾季のマレー半島では「ヘイズ」に注意

「なんだか空が白い」「窓を開けると焦げくさい臭いがする」。もしかすると、それは「ヘイズ」かもしれません。「ヘイズ」とは「かすみ、もや」という意味ですが、シンガポール、マレーシアでは「煙害」を指すときにも使われる単語です。毎年6月から9月までの南西モンスーンの季節は、インドネシアのスマトラ島やカリマンタン島(ボルネオ島)で大規模な野焼きが行なわれ、森林火災も発生しやすい時期です。風向きの関係で煙が流れ込むシンガポールとマレーシアは、大気汚染や視界不良、煙に含まれる微粒子状物質(PM2.5による健康被害などが起きていて、旅行者も注意が必要です。シンガポールとマレーシアの政府は、それぞれ大気汚染の度合いを示す指数を測定して国民に注意を呼び掛けており、悪化した場合は警報を発し、屋外での活動を控えるよう呼びかけたり、特に影響が心配される子どもについては休校措置をとったりしています。以下、ヘイズとその対策を紹介します。

怖い? 乾季のシンガポール、マレーシアではヘイズ(煙害)に注意 その1 怖い? 乾季のシンガポール、マレーシアではヘイズ(煙害)に注意 その1

大気の汚染状態はPSIでチェック

マラッカ海峡をはさんでスマトラ島(インドネシア)に面したシンガポールは、ヘイズの影響がもっとも大きい地域です。シンガポール環境省は、大気の状況を1時間ごとに計測してウェブサイトで発表しています。使われているのはPSI(Pollutant Standards Index)とよばれる大気汚染指数で、0〜50「良好」、51〜100「軽度の汚染」、101〜200「不健康」、201〜300「非常に不健康」、301以上「危険」と説明されています。目安としてPSI 101以上が要注意とされていますが、呼吸器系の疾患や、目・鼻・皮膚にアレルギーがある場合はその限りではないので、早めの対策が必要です。

火元に近いため深刻な影響を受けるシンガポール

ヘイズが深刻だった1997年をはるかに上回る被害が出た2013年6月には、シンガポールの観測史上最高のPSI 401を記録しました。開催予定だった国際会議が延期されたほか、建築や工事など屋外での作業ができなくなったり、学校や塾が休みになったりと、社会的に大きな影響がありました。シンガポールでは観光収入が経済の5〜6%を占めるだけに、外国人観光客の減少など観光産業への打撃は大きく、ほかに視界不良による航空機の欠航や医療費の増大などを含めると、2013年のヘイズの経済的損害は、10億ドルを超えると試算した証券会社もあります。(その2に続く)