「すみません」よりも使われる呼びかけ語

マレーシア英語の続きです。たとえば通行人に道を尋ねるとき、“Excuse me.”(すみません)と声をかけるのが標準英語ですが、マレーシアでは、男女や年齢で異なる「呼びかけ語」が多用されます。わたしに対しては“Hey, Miss!”(ちょっと、ねえさん)が一番多いのですが、ときどき子どもに“Excuse me, Auntie?”(すみません、おばちゃん)と話しかけられることがあります。男性は、Bossと呼びかけられることが多いかもしれません。たぶんこれには、マレー語の影響があると思います。

英会話が苦手な人にもやさしい、マレーシア英語「マングリッシュ」入門(その2) 英会話が苦手な人にもやさしい、マレーシア英語「マングリッシュ」入門(その2)

マレー語の人称代名詞

「初歩マレーシア語と格闘しているときに、さっそくぶつかる難問が人称代名詞の使い分けである。二人称には儀礼的な言い方、くだけた言い方、敬語、目下に対する丁寧語がある。アウトサイダーである外国人は、一般的に『アンダ』を用いているが、マレーシア人はできることなら二人称の使用を避けることにしている。」(ハイディ・ミューナン『カルチャーショック05 マレーシア人』河出書房新社、1998年) マレー語では、話し手と受け手の関係性によって呼びかけ語が変わるため、英語の「you(あなた)」ではマレーシア人には物足りないのかもしれません。

表現豊かな語尾の「ラー」

前出のシングリッシュで有名になりましたが、マングリッシュでも語尾に“-lah”を付けることがあります。“OK-lah.”(いいよ)、“So sorry-lah.”(ごめんなさいね)という風に、ちょっと親しみをこめたり、申し訳なさを伝えるために添えられる感じです。わたしが地元の国立大学の英語コースで勉強していたとき、クラスメイトは非英語圏からの外国人留学生たちでしたが、滞在が長くなるにつれて彼らの英語にも「ラー」が入るようになり、“Teacher, no home work for today-lah ?”(先生、今日は宿題はありませんよね?)と発言して、クラスみんなで大笑いしたことがありました。

やわらかい印象を与える、語尾の「ヤ」

もうひとつ、語尾につく“-ya”もよく使われます。女性が好む表現のように思いますが、言い切らずに、調子を少しやわらげたり、やわらかい印象を与える表現です。“One moment-ya?”(ちょっとお待ちくださいね)とか“See you soon-ya.”(またお会いしましょうね)という風に言われたことがありますが、単語そのものに意味があるわけではないけれども、何かニュアンスを感じる表現です。これも「ラー」と同じく、日本語の「〜よ」「〜ね」に当たる言い方なのでしょうね。(その3に続く)