ソンケットを使ったマレーシアの衣装

(「伝統工芸のソンケットとは?」その1からの続きです。)金糸や銀糸を複雑に織り込んであるため、ソンケットは細かく裁断するよりも、織り柄を生かした使い方が向いています。マレーシアでは主に「サロン」(腰衣)として用いられ、男性ならば、ムスリムの男性がかぶる帽子や、ズボンの上に巻きつける「サンピン」という布にもソンケットを使います。女性なら、サロンのほか、肩にかけるショールとして身につけると、とても豪華な印象があります。2015年にはマレーシアでASEAN関連首脳会議が開催され、日本の安倍晋三首相・昭恵夫人がマレーシアを訪れました。このときの晩餐会では、ホスト国のマレーシアが参加する来賓にソンケットを用意して届けたそうで、安倍首相はオレンジに金糸のソンケットで仕立てたジャケット首相夫人はおそろいのショールを着用した写真が首相官邸のFacebookに掲載されています。

ソンケットに織り込まれたマレーシアの自然

ソンケットのパターンは、隙間なく全体に織り込まれたもの、ところどころに柄が入ったもの、等間隔で模様が配置されたものの3種類があります。織り模様には、それぞれに名前と意味があり、植物や果物など、マレーシアの自然を象徴したものが数多くあります。上に向かって二等辺三角形が並ぶのは、「たけのこ模様」、等間隔に小さなひし形や丸が点在するのは「浮雲模様」とよばれています。ほかには、マレーシア原産のくだものマンゴスチンをかたどったものや、にわとりの尾羽を表わした模様、蝶の姿や孔雀の羽を模したモチーフもあり、図案を考えた昔の人びとの暮らしぶりが想像できます。

お値段は、素材と技の難易度次第

ソンケットを織りあげるには時間も手間もかかる上、熟練した織り手でないと精巧なものはできないので、手の込んだ柄のものはそれなりの値段がします。「織物の女王」と紹介されることがあるのは、高級感があるからでしょう。比較的簡単なものなら200リンギ(約5600円)くらいからありますが、複雑な織り方だと7000リンギ(およそ19万6千円)、注文生産などの高級品になると1万5000リンギ(42万円)するものまであるそうです。旅行者がおみやげに買うにはやや値が張りますが、工芸品や織物に関心がある方には、喜ばれるのではないでしょうか。(その3に続きます)