うまそうなワンタン麺屋を探し出せ

マレーシアのマラッカに着いた初日の夜、どうしても食べたい料理がありました。それがワンタン麺です。事前調査でだいたいの場所を把握し、夜道を歩いて探します。地図は持っているのですが、ネットから引っ張ってきたものなので、いまひとつ正確ではありません。正確なのかもしれませんが、初日では、町の様子が感覚的にわからないので、道と道の関係性も理解できずに、迷ってしまいがちです。これまで83か国、2500以上の世界の町を巡った僕でも、いつもそうなります。マラッカは約30年ぶりでしたので、初めての町と大差なかったのです。しばらくする、雨が落ちてきました。妻はいつもそうですが、諦めてどこかそこら辺に入ろうと言います。そうして入って、うまかった試しなどありません。日本でも同じです。僕は嫌がる妻を引き摺るように歩き回っていました。

鴻昇(HONG SHENG)WTM(ワンタンミー)の看板。店内はこの3倍の広さがある 鴻昇(HONG SHENG)WTM(ワンタンミー)の看板。店内はこの3倍の広さがある

地元の人でも、わかる人と、わかない人がいても当然

雨宿りがてら飛び込んだのは中級ホテルです。インド系の眼鏡をかけたフロントマンに、プリントアウトしてきたワンタン麺屋の情報を見せます。「ウーン、わからないです。すみません」。彼は困った顔をしていました。せっかく近くまで来たはずなのに、近所の人でも知らないとなると、地図を読み間違えたのでしょうか。「もう少しだけ探させて」と僕は妻に頼み込み、歩き出します。雨は小ぶりになっていました。十字路に立ち、どちらに行こうか迷っていると、中国系の男の人が通りがかりました。彼にたずねると、角にある薬局の中年男性に聞いてくれます。「Hong Shengワンタンミーね。真っ直ぐ行って、右に曲がればあるさ」。僕はハタと膝を打ちました。ワンタン麺を食べる中国系の人なら、近所だし、知ってる確率も高い!人にものを尋ねる時は、相手をよく見てからにしないとダメですね。

なぜか汁なし、スープ付きが主流

ほどなく店に到着しました。店内はほぼ満席です。店には片側には壁がなく、道路側がすべて開放されているので、一目瞭然です。席に案内されて座ります。客の全員が汁なし、スープ付きを食べています。大、中、小とあり、迷っていると、隣の若者が、「男なら大だ」というような素振りです。妻は中、僕は大を頼んで待つこと5分。ワンタン麺スープ付きが運ばれてきました。麺には油が絡めてあります。小松菜と挽肉、小さい焼豚のスライスが載っています。それにワンタンスープです。麺は硬めで僕好み。青唐辛子の酢漬けを混ぜてガツガツ行きます。なんたって、うまいんですから。薄めの味で上品に仕上がっています。人気のほどがうかがえました。店の名前は「Hong Sheng(鴻昇)ワンタンミー」です。マラッカにお越しの方は、ぜひ寄っていただきたい、行列必至のワンタン麺屋さんでした。

これが汁なし、スープ付きワンタン麺 これが汁なし、スープ付きワンタン麺